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21世紀初めの核兵器の位置付けについて Part 9

第二次世界大戦直後の時代と違って、戦後の世界では、核兵器が使われた場所は、数十年、場合によっては、百年以上、立ち入り禁止の、ほぼ完全な死地となるようになった

 それは、なぜなのか、というと、これは、ああした形で原子爆弾が、実際に使用された後の世界だから、はっきりわかることなのですが、戦後の日本の場合、1940年代、50年代の原子力について、まだ無知な時代であったので、その後、原子爆弾が投下された都市を、わりと短期間のうちに復興させるような流れになっているのですが、ただ、それから数十年して、原子爆弾の非常に強力な破壊力や、その後も非常に長く残る放射能の害が、より明確にはっきりとわかるようになってくると、はっきり言って、もしその後、どこかの重要な戦場や、軍事拠点や、軍事的に重要な都市に原子爆弾が使用された場合、その後の人類は、おそらく、かなりドライな感じで、「もうこの地域は、放射能の害があって危険だから、今後、数十年、場合によっては、百年以上、立ち入り禁止区域にする」などというように、人間以外の生物にとっては別なのかもしれませんが、人間の活動に関しては、その後、数十年、場合によっては、百年以上に渡って、ほぼ完全に立ち入り禁止区域にするはずなので、いわゆる、ほぼ完全な死地になってしまうのではないか、ということなのです。

 そうすると、アメリカやロシアや中国といった国土的に広い国でもない、特に国土の狭い国としては、たとえ核兵器を持っていたとしても、一発でも使えば、もうその後、ずっと人間が立ち入ることのできない死地をつくることになるし、また、もし、そうした核兵器を用いた戦争の経緯で、自分の国の内外のあちこちに核兵器が使われていってしまうと、その場合も自分の国の内外のあちこちに死地が、どんどん増えていってしまうというような、はっきり言って、ほぼ完全に不毛な破壊だけが起きるシナリオになってしまうのです。

 ですから、実際問題として、現在の核兵器は、持っていても、通常の兵器とは全然違って、まずは、なかなか使うことができないし、また、さらにその後の自分の国への反撃や、双方で核攻撃が、どんどんエスカレートしてゆくことを考えると、とてもではないが、まずは、絶対に使うことがはばかれるような、はっきり言うと、外交的には多少、意味があるかもしれないけれど、軍事的にも、人間の生活的にも、あまりに被害が大きすぎて、使うことのできない、ちょっと危険すぎる代物になってきてしまったようなところがあるのです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2017年11月28日 9:03 PM, 政治 / 軍事



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