それでは、こうした社会の状況に対して、いったいどのような根本的な対策を立てればいいのか、というと、だいたい、次のような二つのことが言えます。
①急激に経済が成長する時代には、多くの人々の間で、お金の感覚が、かなり大混乱してゆきがちであるので、誰でも守れるような非常に簡単で透明性が高く、不公平の少ない法律や会計原則のような正しさの基準を明確にして、しっかり維持し続けてゆくことがとても重要である
まず一つめは、これは国や地域によっては、かなり難しいと思われるのですが、特に一昔前の時代の多くの人々のお金の感覚というのは、自分の所に入ってくる収入と、自分の所から出てゆく支出と、それから何らかの資産があった場合には、せいぜい、そうした資産に関わる簡単な売買や支出入ぐらいの、かなりざっとしたお金の感覚しかなかったことが多いのですが（場合によっては、物々交換がメインで、お金の感覚すらないこともあります）、それが、そうした経済の成長期には、突然、急激に収入が増えたり、逆に突然、急激に収入が減ったり、また、株や不動産などの資産が、突然、急激に値上がりし出したり、また逆に値下がりし出したりするような多少、不安定な経済状況に置かれることが多いので、数年、数十年と、そうした経済状況の中にいると、どんな人であっても、途中でお金の感覚が、何がなんだか、よくわからなくなってきてしまうことが、とても多いのです。
さらに、そうした経済の成長期に多くの人々の間で、お金の感覚がわかりづらくなってくる理由としては、たいてい、そうした時代には、時期によっては、毎年、十数パーセントにも昇るような、すごいインフレが起きて、物やサービスの値段がどんどん上がってゆくので、それに合わせて、給与の額も、どんどん上がると共に、株や不動産の価格も、どんどん上がってゆくものなのですが、さらには、そうした経済の発達につれて、以前の時代には、全く見たことも聞いたこともないような新たな商品やサービスを提供するお店が、街のあちこちに（最近だと、ネットにも）次々と出現してゆくことになるために、はっきり言うと、ついこの前まで普通の平凡人だと思っていた人が、突然、とんでもない大金を持つようになったり、以前のその人の性格では、ほとんど考えられないような、かなり危険な遊びや賭け事のようなものに、大した不安も罪悪感も感じることなく、平気でうつつを抜かすようなことが、国中の至る所で、数多く起きるような社会状況になってしまうことが多いからです。
Ｃｅｃｙｅ（セスィエ）
