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試験に強い権威をもたせている国は、歴史法則的には、せいぜい百年程度で国家が滅びることになる Part 1

 今回の話は、現在の日本の社会では、あまり聞いたことのないような、非常に変わった試験についての話になります。

 

試験制度は、いっけん非常に便利な制度だが、歴史法則的には、試験に大きな権威を持たせている国は、たいてい百年程度で衰退、もしくは、滅びる傾向がある、というような結構、危険な制度でもある

 いっけん試験制度というのは、大勢の人々の中から、ほぼ平等な条件でもって、そこそこ優秀な人間を全く無作為な形で選ぶことができる、というような点において、非常に便利な制度ではあるのですが、ところが試験というものに、あまり強い権威のようなものを持たせておくと、たいてい、そうした国というのは、歴史法則的には、短くて数十年、長くても、せいぜい百年ぐらいで、ほぼ確実に国家の経済が破綻して、大混乱に陥るか、もしくは、その国の地方の反乱や、国外勢力による侵略によって、実質的に国家が滅びることになるような歴史のシナリオになることが非常に多いのです。

 ここでは、その理由について、要点だけ手短に説明してみたいと思います。

 

国家政策の具体的な実行集団を育成するために始まった近現代の試験制度と、その問題点について

 これは試験を受ける側の立場ではなく、そうした試験を実施する側の立場に立って、よくよく冷静になって考え直してみないと、よく分からないような話であるのですが、ここでは、まず、「試験」というものの、そのそもそもの最初の成り立ちから考え直してみたいと思います。

 一昔前の王様が統治していたような王制の国か、それとも多くの人々が直接選んだ、政治家による国家の統治をしているような民主制の国か、ということはさて置くとして、そこに一つの国家のようなものがあるとして、その国家の為政者のような人達が、その国家の運営方針というものを大まかに定めたとすると、次には、そうした国家の運営方針というのをある程度、細かく具体化して、「何年何月何日までに、何々をする」とか、「この件の実行責任者は誰それにして、そのための予算や人員は、どこそこから調達する」などというように、そうした国家の運営方針を、細かく具体的に実行してゆく政策実行集団というのが必ず、ある程度の人数は必要になってきます。

 その際に、そうした政策実行集団というのは、一昔前のような王制の時代には、たいてい昔から代々王様に従ってきたような、たくさんの貴族や家臣達が、そこの王族を中心とした一種の利益共同体の一員として、そうした国家の運営方針の具体的な実行というものを執り行ってきたのですが、ところが国家が近代化して、そうした世襲制の貴族や家臣団というのが、事実上、どこも衰退して、消滅してしまうようになると、次には、多くの一般の人々の間から何らかの公平な試験によって、知識や教養の高さであるとか、実務能力の高さにおいて、一定以上の実力があると証明された人間を次々と採用しては、そうした国家の運営方針を具体的な実行してゆく政策実行集団の中に、どんどん加えてゆくような方法がとられることになります。

 これが現在、たいていの国で最も権威があるとされているような難しい試験、つまり、役人や裁判官や教師などの試験の、そのそもそもの始まりになっているのですが、ところが、こうした制度の場合、たいてい次のような二つの問題に必ず直面することになります。

 

 続く・・・

 

 追伸

 今日、残りの二つとも一緒にアップします。

 

 要するに日本人の場合は、この話は、太平洋戦争の敗北(軍人の偉い人はみんな役人ですから)と、バブル崩壊以降の長期不況のことを思い浮かべていただければ、わかりやすいのではないか、と思います。

 

Cecye(セスィエ)

2010年11月29日 9:11 PM, おすすめ記事 / 政治 / 教育 / 歴史 / 社会、文化



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