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民主化や近代化の草創期の問題と、その解決策について Part 41

③過度の混乱をもたらさないような、それぞれの国や地域の社会の実情に見合った形の適切な援助や協力のあり方が、とても重要である

 それから三つめは、これまでの時代には、先進国の国々の人々が、自分達の社会の様子だけを見て育ってしまうと、どうしても自然自然のうちに思い込んでしまいがちな内容があったのですが、それは、「先進国の国々というのは、とにかく、何もかもが発展して優れているので、そうした発展途上国の国々の人々はみんな、先進国の国々のような非常に発展した優れた社会で、豊かな生活がしたいのだろう」というような、かなり強い思い込みを持つことが多かったようなのです。

 それが、特にここ数十年ぐらいの間に、そうした先進国の国々の人々の考え方はかなり大きく変わってきて、「何でも、ただであげればいいと思ったけど、ただであげると、そのありがたみが、なかなかわからなくて、逆に簡単に壊したり、とんでもない奪い合いのようなことばかりし始めて、全然よくならないので、あえて、その国や地方の人々が、少し努力すれば、普通に払える程度のお金をもらって、新しい仕事を作ったり、新しい事業を進めるような形で、かなり地道な末長い援助や協力をしてゆかないといけないようだ」とか、「先進国のものは、何でも全部良いと思っていたんだけど、やはり、それぞれの国や地方の社会には、それぞれ独自の特色や発展の段階があるようなので、そうした独自の特色や発展の段階に応じた指導や援助を行わないと、全然よくならないんだ」とか、「自分達としては、良かれと思って、完全に善意で、いろいろな物をあげたり、いろいろな指導をしてあげたつもりだったのだが、気がつくと、そうしたことが原因で、とんでもない戦争や混乱が起きてしまったようなので、たとえ相手が欲しがったとしても、それぞれの国や地方の実情に見合った、最も良い結果をもたらす程度の援助や協力にとどめておこう」などというような形の援助や協力に、かなり大きく変わってきているようなところがあるのです。

 つまり、それぞれの国や地域の社会には、それぞれの国や地域の社会ごとの様々な事情があるものなので、そうしたそれぞれの国や地域の社会の実際の状況を無視して、あまりにも急激な変化をもたらすような援助や協力を行ってしまうと、かえって、そこの国や地域の人々の生活が大混乱に陥ってしまい、場合によっては、その後、数十年単位で、なかなか元の社会の状態にすら戻れないような、結構大変な状況に陥ってしまうことがあったということなのです。

 ですから、たとえ先進国の国々の人々の目から見ると、とんでもない国や地域の社会の状況になっているように思えたとしても、そうしたそれぞれの国や地域ごとに異なる社会の事情、つまり、それぞれの国や地域ごとに異なる宗教や伝統文化のあり方や、政治や経済の仕組みや、それから、そこに住む多くの人々の常識や考え方や、仕事や生活の営みなどについても、なるべく詳しく調べた上で、そうした国や地域の社会が、あまりに大きな変化の波に飲まれるような事態に陥るようなことは極力避けると共に、そうした国や地域の社会が、少しずつでも確実に、より良い変化の営みを続けてゆけるように、最低でも数十年単位ぐらいのスパンで、末長く適切な援助や協力をし続けてゆけるようにしてゆくことが、とても大切なのではないか、ということです。

 

 今回で、「民主化や近代化の草創期の問題と、その解決策について」の話は、いったん、おしまいになります。

 もう少し別の観点からの話を、またしばらく経った辺りで載せる予定です。

 

Cecye(セスィエ)

2016年11月24日 9:03 PM, 政治 / 歴史 / 社会、文化 / 科学、テクノロジー / 経済



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