それから四つめは、これは実際問題として、かなり難しい内容を含んでいるような話になるのですが、現在の人間の知性のレベル、あるいは人間の生物としての脳や神経系の機能のレベルから考えると、どう考えてみても人間には、これ以上はわからない、また、どんなに一生懸命努力しても人間には、絶対にわからないような物事が、まだまだこの世界には、たくさん存在しているように思われるのですが、そうすると人間の物の見方としては、次のような二つの物の見方が、とても大切になってきます。
一つめは、これは一昔前の時代には、ほぼ常識のような考え方であったにも関わらず、現代の社会では、ほとんど言われなくなったような物の見方になるのですが、要するに人間である以上、どんなに一生懸命学んでも、また、どんなに一生懸命物事を探求していったとしても、自分には、どうやってもわからないものは必ずある、という事実は冷静に受け入れて、たとえ自分としては、いろいろな物事をかなりよく知っているように思われたとしても、それは決して、この世界のすべてのことを知っているわけではないし、また、この世界のすべてのことができるわけでもない、ということは、冷静に謙虚に受け入れるべきであるということです。
二つめは、これは少し違った観点になるのですが、実は、人間という生物を冷静に観察してみると、確かにたくさん、いろいろな物事を知っていることに非常に大きな悦びを見出すところがあるのですが、ただそれ以上に、常に自分が、何か未知の新しいことを知り、できるようになってゆくことにも、同じように非常に大きな喜びを見出してゆくようなところがあるものなのです。
つまり、確かにたくさんの物事を知っていることは素晴らしいことではあるが、それと同時に常に自分が、まだ知らない何か新しいことを学んだり、できるようになってゆくということは、それに勝るとも劣らないくらい非常に素晴らしい体験なのだ、ということも、人間の性質として素直に受け入れてゆくことが、とても大切なのではないか、ということです。
Cecye(セスィエ)
2016年12月28日 9:03 PM, 知恵、正しさ