Light Symbol

トランプ・ショックについて Part 3

世界に広がるグローバリズムの流れの中で、逆に現在のアメリカ合衆国は、多少、競争が厳しくなりすぎないような形で、多くの国民がより豊かさや幸せを実感できるような、世界的にスタンダードな国を志向してゆきつつある

 ここで少し話を離れて、現在、歴史的に置かれているアメリカ合衆国の状況について、少しだけ述べてみたいのですが、昔の時代と違って、これまでアメリカ合衆国やヨーロッパの国々が全世界をリードしてきた民主主義や自由主義、それから経済発展やグローバリズムのような考え方は、21世紀初頭の現在、世界の大多数の国々に、ほぼ完全に世界的なスタンダードとして受け入れられてゆきつつあります。

 そうすると、こうした現在の状況では、昔ほど、アメリカの市場だけを世界にオープンにしておいたり、たくさんの移民を受け入れたりして、過度の競争社会にしておくような政策は、現在のアメリカ人にとって、かなり負担が大きいだけでなく、また世界的にも、昔ほど必要でなくなってきているようなところがあります。

 ですから、こうした観点から見る限り、「アメリカ国民の豊かさや幸せを、もっと重点的に考え直すべきなのではないか」というようなトランプ氏の主張は、現在のアメリカ合衆国の状況にかなり合っているようなところがあるのです。

 ただ現在の世界は、誰がどう考えてみても、現在のアメリカ合衆国の強い政治的なリーダーシップと、巨大な経済力や軍事力をベースに成り立っているようなところがあるので、現在の世界の状況で、急にアメリカ合衆国だけが、突然違った方向に行くことは、世界中の国々にとっても、またアメリカ国民にとっても、かなり難しい、というか、細かい所を調べて行くと、実質無理なところがあるようです。

 その理由は、現在のアメリカ経済と、世界中の国々の経済が、あまりにも密接に連動しすぎている上に、アメリカの「ドル」が世界の基軸通貨になっているために、現在の世界では、アメリカ合衆国の不景気は、世界中のたくさんの国々の不景気につながってしまうし、またアメリカ合衆国の好景気は、世界中のたくさんの国々の好景気につながってしまうような時代になってしまっているからです。

 それゆえ、こうした現在の情勢で、突然、アメリカ合衆国だけが、かなり身勝手な自国向けの政治を行うことは、実際問題として、かなり不可能なところがあるのです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2016年11月17日 9:05 PM, コラム / 政治 / 歴史 / 社会、文化 / 経済



«

»

おすすめ記事

過去の記事