32、残念ながら、どんなに優秀な人であっても、どこかの段階で、その時点の自分としては全く歯が立たないような、これまで全く想像もしていなかったような大きな試練や逆境に巻き込まれることがある。そうした時には、以前の成功体験はいったん置いておき、顧客や上司が、真に求めているものは何なのか、自分や自分の会社の最大の強みは、いったい何なのか、そして、もし、それがなければ、いったいどのような強みが必要なのか、その時点の自分や自分の会社の立場としては、いったい何をしっかり守りきれればよいのか、それから今、冷静に自分が学び、身に付けなくてはならないことは、いったい何なのか、ということを、謙虚に、しかし、一つ一つしっかりと確実に学び、身につけてゆかなくてはならない。
33、その仕事に就いて、ある程度の月日が経った頃になると、若い頃の無我夢中の自分とは違って、もっと冷静に現実の自分の知識や能力や経験、それから自分の向き不向きや、社内での役割や、その後の将来の予測が、ある程度、はっきりと分かるようになってくるものであるが、そうした時にこそ、もう一度、最初にその仕事に就いた時の理想や初心について、また、これだけは、しっかり守り通すべきである、と思われる日々の大事な心掛けについて、それから、やがて、いつか一段落して、その仕事を去った時に、自分としては、これだけは、絶対に誇りに思えるということや、自分の人生を振り返って、素晴らしかったと思えることは何なのか、ということについて、時折、時間を取って、しっかり考え直すべきである。そして、この時にもう一つ大切なことは、人間の人生というのは、仕事だけではなく、会社や地域の仲間や友人や家族との人間関係の中にこそ、真に人間を満足させ、本当に豊かにしてゆく大切なものがあるということだ。仕事は大切、しかし、仲間や家族や友人との豊かな人間関係は、それに勝るとも劣らない、とても大切なものなのだ、とよく知るべきである。
34、人間の人生では、時に後々、非常に大きな懺悔や後悔の念を持たなくてはならないこともある。それは無知や過失や甘えや、心身の不調などによって起きた他の人々や生き物達への大きな加害行為や、自然環境への大きな破壊行為のことである。これは時に、実に些細な油断や間違いによって生じるものであるが、その後の被害を受けた人々や生き物達の物質的な損害や精神的な苦痛や悲しみは、その当事者でなくては分からないほど、かなり切実極まる大変なものになるような重大な間違いになることもある。それゆえ自分の仕事上、特にこれだけは細心の注意が必要である、特に、これだけは絶対にミスしないように気をつけなくてはならない、というような内容に関してだけは、日頃から自分のみならず、できるだけ多くの人々と共に、細心の注意と配慮を持ち、心を配って、より良い仕事を積み重ねてゆくべきである。
今回で「仕事の心得」の話は、おしまいになります。
追伸
よくスピリチュアルな話ではありがちな、単純に明るく積極的に考えて行動すればいいのだ、というような考え方とはかなり違って、理想や考え方は大事だけれど、わりと手堅く末永く、より良い成功を積み重ねてゆくような話が多かったように思われます。
世の中を見ていると、確かに頭が良くて、仕事もできそうな人であれば、「もう少し明るく積極的な考え方であれば、さらに良い結果が出るのではないか」と思われるようなケースも多いのですが、そうではなく、「なんで、こんな当たり前のことを、しっかりやらなかったのだろう」と後から本人が、とても後悔していたり、あるいは、しょっちゅう周りの人々から文句を言われたり、怒られたりしているようなケースも多いようなので、ここでは、わりと手堅く、あまり大きな失敗をせずに、淡々と毎日を楽しく充実した形で成功し続けてゆけるような考え方を述べてみることにしました。
ただ最初にも述べましたが、これは、そうした仕事の一般論のような話に過ぎないので、起業を志す人や経営者や、芸術関係の仕事の人には向かないところも多いと思われます。
まあ、基本的に仕事は、自分が最も楽しく、やりがいや充実感を持てることが一番なのですが、より良い人生を生きるための一助となれば、とても幸いです。
Cecye(セスィエ)
2014年11月19日 9:03 PM, 成功論、繁栄論