歴史上の話を学んだ際などに現代の日本人がよく騙されやすいと思われるような政治的なトリックについて、少しだけ述べておきたいと思います。
一つめは、歴史上の人物の誰かが、どこかの国や組織のトップであったにも関わらず、「この会議では発言権がなかった」とか、「一言も言わなかった」などというような理由で、あたかもまるで何の責任もなかったかのように説明しているケースがあるのですが、これは現代の会社組織で説明すると、例えば、大会社の社長が会議の場で何らかの件について、すべて説明を受けた上でOKを出したのに、後で「何も聞いていない」、「何も判断していない」と無責任に言い逃れしているのと全く同じなので、原則そうした説明は、その当時の政治責任者の責任を全くなかったかのようにごまかすための嘘と判断すべきです。
二つめは、国の軍隊や行政機関等、かなりきっちりとした組織があったにも関わらず、「下の人間や組織が勝手に動いて、何かやらかした」と説明されているようなケースになるのですが、こうしたケースの場合、その後、そうした下の人間や組織が、その時点での法律や制度の下できっちり処罰されたり、それなりの処置がされている場合には、そうした説明の通りであると言えるのでしょうが、そうでない場合には、原則、本当はその組織のかなり上にいる人物が裏でいろいろ指図して、そうした下の人間や組織にいろいろやらせた上で、その責任の詳細をうやむやにしようとした、というように考えるのが普通の世の中の考え方というものです。
Cecye(セスィエ)