2、特に第二次世界大戦後以降の軍事大国の中には、一定期間ごとにある程度の規模の戦争をしないと経済が回らないような戦争依存型の経済体制になっている国々があるのだが、21世紀の今頃は、全世界的に中長期的な平和と繁栄を目指した国際体制へのパラダイム・シフトの時期に当たっている
第二には、これはあまり考えたことがない人が多いのではないかと思われる話になるのですが、経済には思わぬ弱点があって、それというのは、もし軍需産業を自国の主要な経済的な産業に据えてしまっている場合には、そうした国というのは、どうしてもその国の経済をうまく回してゆくために、一定期間ごとにある程度の規模の戦争をしなくてはならなくなるというような、とんでもない戦争依存型の国家になってしまうことがあるということなのです。
残念ながら現在の地球では、特に第二次世界大戦を機縁として国家の経済運営上、世界の代表的な軍事大国は多かれ少なかれ、こうした戦争依存型の経済体制になってしまっているようなところがあるのですが、ただ、ちょうど今頃の21世紀の初め頃というのは、そうした流れの一つのピークを迎える頃になってきています。
それというのは、今日の21世紀の初め頃の時代におけるそうした軍事大国の代表的な兵器というのが、第二次世界大戦の頃のだいたい今から60〜70年前の頃の兵器と比べると、確かに兵器としては極めて強力な上に、正確な目標のみの破壊が行えるような非常に優れたものに進化してきてはいるのですが、ただ別の観点から見ると、あまりにも破壊力が強すぎる上に値段も法外に高いのみならず、その上、もし、それが少しでも軍事的な目標のような所から外れて大きな被害を出した場合には、昔と違って今日のような情報社会では、「こんなとんでもない市民の虐殺をしているぞ」とか、「こんな残虐な武器が使われているぞ」などという具合に、あちこちから批判やクレームの山が持ち上がってきてしまうような状況になってしまったために、はっきり言うと今日のような21世紀の情報社会では、ある意味で地球上の兵器というものがあまりにも完成され過ぎてしまっているために、昔のようにパッとたくさん乱雑に作っては使う、またパッとたくさん乱雑に作っては使うというような単なる経済運営のための軍事支出というのが、だんだん、そう簡単には行いづらいような状況に変化してきているということなのです。
それでは、少し前までの地球の今頃から近未来にかけての歴史のシナリオ(たくさんの並行世界の状況のこと)では、いったいどうなっていたのかというと、たいてい、どこかの地域で、とんでもない非常事態が発生して第三次世界大戦が勃発し、その結果、やがて全世界のあちこちで壊滅的な破壊や混乱が起きて、そのうち、そうした戦争依存型の経済体制自体も大崩壊してしまうというようなシナリオに落ち着くことが非常に多かったのですが、当然のことですが、そういうシナリオになった場合には、たいてい、とてもではないが、口で言うことができないくらいのものすごい犠牲者と被害が巻き起こることになり、その後は、よく近未来を描いた映画のネタになるような非常にすさんだ未来世界が、ひたすら長く長く続いてゆくというような未来の状況になることが非常に多かったようです。
それでは現在の地球は、いったいどのような方向で、こうした事態を回避しようとしているのかというと、これは細かく言うと、またとてつもなく長い話になるので、ここでは省略しますが、大まかに要点を言うと現在の流れだと、次のような未来のシナリオに落ち着いてゆく可能性が高いということです。
まず第一には、これは当然のことですが、そうした軍事大国では、いろいろな理由をつけては、少しずつ軍事的な予算を減らして、もう少し平和に末永く多くの国々が共存して繁栄してゆけるような経済システムに移行してゆこうとしているということです。
第二には、これも当然のことですが、そうすると、これまで非常にたくさんの雇用(働き口)を生み出してきた軍隊や軍需産業に変わって、それと同等、もしくは、それ以上の雇用を生み出す産業のあり方になるように、どの国も少しずつ政治的にも経済的にも変更していっているということです。
第三には、これはあまりはっきり言ってはいけないような種類の内容かもしれないのですが、そうした軍事大国は、現在の段階では、まだ多少は軍事的に対立するようなスタンスを維持しているのかもしれないのですが、ただ水面下では、軍事的な対立関係から徐々に経済や文化面での結びつきを深めて、お互いになくてはならないような末永い平和や繁栄を志向した協調関係を結ぶような方向に切り替えていっているということです。
それから第四には、これはあまり言われないのですが、実は現在の21世紀の初め頃の軍事状況というのは、国際関係的には、わりと良好なのですが、ただ第二次世界大戦の頃と一緒で、有名なステルス機(レーダーに映らない最新の戦闘機のこと)や各種のロボット兵器を初めとして、全体的に徐々に主要な兵器の内訳というのが大きく変わり始める端境期(はざかいき)に当たっているので、それゆえ歴史的には、もし、こうした時期に一つでも、とんでもない野蛮な侵略国が出てくると、昔、軍事的にそれほど脅威ではなかったはずのドイツや日本が軍用機や戦車やミサイル(ロケット兵器)を使って、一時的に大々的な軍事的成果を収めた頃とほとんど同じように、ちょうど今頃の時期は、軍事的には、潜在的にかなりの不安定要因を抱えるような状況になってきているのです。
ですから、どの国も、はっきりとは言わないのですが、「この新型兵器はすごいんだけど、基本的には、よほどのことがないと使う気はないから、君の国も似たような兵器は、絶対に突然使ったりするなよ」というような感じで、お互いに多少心配はしているけれども、それ以上に、口では絶対に言わないけれど、お互いにかなり信用し合っているので、結局、何もないような状況になっているというような、ちょっと微妙な時期に当たっているということなのです(これは素朴な疑問ですが、レーダーに映らないステルス機をあっちこっちの国が持っていたら、いったいどうやって防衛するんでしょう? どの飛行機も、ヒューっと、みんな気づかずに通り過ぎていってしまう・・・)。
Cecye(セスィエ)