2、現在の世界の経済体制では、基本的に世界中の国々の自由な経済活動は大いに奨励されているのだが、ただし、行き過ぎた人権の弾圧や軍事力の行使を図ろうとした場合には、国際的な協調関係の下、かなり断固とした制裁が課されることが多い
二つめは、これは今日、だんだん非常に大きな問題になってきているような内容になるのですが、かなり簡単にまとめて述べると、要するに現在の世界では、おそらく世界中のほとんどの国々が、自分の国を、できるだけ経済的に豊かな国にしたいと願っているのではないか、と考えてよいと思われるのですが、それでは、それぞれの国の政府や、それぞれの国の地方の自治体として、あるいは、それぞれの国や地方の国民として、そうした経済的な豊かさを求める際に、例えば、それぞれの国が掲げている民主主義や社会主義や共産主義といった政治的な価値観や、あるいは、宗教的な正統性や伝統などといった精神的な理想や、軍事的な覇権主義のような国家目的などを比べた際に、いったい何を第一に掲げて、そうした経済的な豊かさを実現しようとしているのか、ということが非常に重要になってくるのです。
アメリカや、大多数のヨーロッパの国々や日本などの現在、西側の文明圏に属している国々の場合、かなり大雑把にまとめて述べると、「国の経済的な豊かさはとても大事だけれど、しかし普通、それぞれの国民の人権や健康や安全の方が大事だろう」「昔の世界大戦の悲惨な歴史があるのだから、普通、絶対にそう簡単に軍事力の行使なんてしないだろう」などというように考える人々が多いと思います。
ところが現在の世界の様子を見れば、誰でもわかるように表向きの発言はともかくとして、本音のレベルでは、「国が経済的に発展できるなら、国民の人権や健康や安全なんて二の次だし、自分達はずっと先進国の真似ばかりして、発展してきたんだから、外国人の人権や知的所有権なんて、本音としては、何かパッシングでもされない限り、あまり真剣に守ろうとは思っていない」「本当は自分達は、昔の戦争で得して、ボロ儲けした側だったので、戦後も経済発展したら、一緒に軍事力もどんどん増強して、できるだけ他国の政治や経済を、自国の強大な軍事力の支配下に置いてゆきたい」などと考えているのではないか、と疑われるような国々もあるわけです。
そうすると世界規模の自由貿易や自由競争の経済は、一見、とても良さそうではあるのですが、ところが、そうして世界中のたくさんの国々が経済的に豊かになってゆくと、そうした国の豊かさにふさわしいレベルの国民の人権や健康や安全を、一緒に実現してゆこうとするような国々がたくさんある一方で、そうではなく、国が豊かになっていっても、国民の人権や健康や安全には、それほど気を使わないだけでなく、一部の特権階級のような人々の利益ばかりを優先したり、また国民を厳しく弾圧したり、さらには、どんどん軍拡して、周りの国々に対して、大きな軍事的な脅威を与えようとするような国々が、だんだん増えてゆくようなところもあるわけです。
Cecye(セスィエ)
2022年12月1日 9:03 PM, おすすめ記事 / 宗教、道徳 / 政治 / 歴史 / 知恵、正しさ / 社会、文化 / 経済 / 軍事