二つ以上の民族や部族が、真正面から対立しているケースについて
次には、これもとても難しいのですが、人類の歴史では、ともすれば、かなり根深い感じで、二つ以上の民族や部族が真正面から対立して、お互いに武器を向けあったり、略奪や憎悪の連鎖が、なかなか終わらないような状況になることがあるのですが、これに関しては、次のような二つのことが言えます。
①民族や部族の対立の際には、表向きの主張やスローガンの裏に隠れた現実的な問題や利害の対立に目を向けないと、なかなか、うまく根本的な解決ができないケースが多い
まず一つめは、単純に言って、そうした人々は、表向きは、いろいろとそれらしい宗教的な理想や、政治的なスローガンや、また、それまでのとてつもなくややこしい仲違いの経緯や、どうにも解決不可能な理由をたくさん掲げてくるかもしれないのですが、たいていの場合、それは多くの人々を納得させるための表向きの理由なだけで、本当は元々、その土地には、何か有力な資源があるのに、その土地の人々に何の恩恵も与えていないので、ある程度しっかりした取り分が欲しいとか、政府の活動によって、食べ物や飲み物など、実際の生活に困るような、かなりひどい被害を受けているとか、不当に武器や麻薬を持ち込んでくる人々がいて、そこの社会がすっかり荒れ果ててしまったとか、さらには、そこの人々の主張が、ほぼ完全に無視されるような形で、家や土地が取り上げられたり、別の土地への移住が強制されて、全く生活が立ち行かなくなってしまったなどというような、かなり切実な事情があることが非常に多いのです。
ですから、こうした場合には、多くの人々の賛同を得るための表向きの主張は一応聞くけれども、そうした表向きの主張の裏に隠れた、そこに住む人々の現実の問題や、それによる利害関係の対立を、しっかりとうまく調整し、解決するようにしてゆかないと、なかなか、うまく根本的な解決を図ってゆくのは難しいのではないか、と思われます。
Cecye(セスィエ)