それから五つめは、これはヘルメス・トリスメギストス本人というよりも、かなり後世のエジプトで非常に神格化して伝えられていたヘルメス・トリスメギストスからの霊的な啓示を記録したような内容になります。
大まかに要点だけを言うと、今から、だいたい2000年ぐらい前の前後数百年ぐらいの間に、当時かなり混乱しつつあった霊的な価値観を何とか正常化させようとしていた霊的なグループが、当時のエジプトには幾つかあったのですが、そうした霊的なグループが、元々伝わっていたヘルメス・トリスメギストスの教えと、彼らが受けた新たな霊的な啓示と、それからその時代にあった最先端の様々な教えや技術のようなものをいろいろとミックスしながら、新時代の教えを模索していたようなのです。
この当時の教えが、現在も多少伝わってきているのですが、これは現代人の感覚で言うと、例えば、今から二千年前のイエスの教えや、今から二千数百年前の釈迦の教えを元にしつつ、現在の時点で知りうる世界中の霊的な教えや技術を再整理し直したようなものになるので、当然のことですが、そうしたことをあまりよく知らないような、さらに後世の人々の立場からすると、はっきり言うと、確かに真理と呼べるものはたくさん含まれているけれども、多少何が何だかよくわからないようなところもあるというような、少し不思議な位置づけになってしまいやすいようなところもあったようです。
ですから、その時代のヘルメス・トリスメギストスの教えは、様々な宗教や神秘思想で良いところは、どんどん積極的に受け入れられるようになっていったのですが、それではそのヘルメス・トリスメギストスの教え自体は、どうなっていったのかというと、その後はあちらこちらで様々な分派に枝分かれしていったり、さらにその後発生したキリスト教やイスラム教などの影響によって、だんだん下火になってゆき、やがて一種の秘密宗教のような位置づけになってしまったようなのです。
このように「ヘルメス・トリスメギストス」と言った場合には、実は、今から数千年前のエジプト(その時代のエジプトは、後のローマ帝国のような感じでもっと広大でしたが・・・)や中近東で活躍した宇宙から来た神人のような存在達や、様々な時代の大宗教家や預言者のような人々の話を寄せ集めて、あたかも一人の人物であったかのように伝えられていたということと、それから、さらに後の時代にそうした人々の教えや業績の断片を再整理しながら、その時々の霊的な啓示や学問や技術をいろいろな形で付け加えていったようなものであったというように思われます。
Cecye(セスィエ)
2015年1月26日 9:03 PM, ギリシャ神話 / スピリチュアリズム、霊界 / 宇宙文明、古代文明 / 宗教、道徳