それから第四には、これはあまり聞いたことがないかもしれないのですが、人間の間には愛情の力学関係のようなものがあって、たいていの人は、無意識のうちに、常に「自分はどの程度相手に愛されていて、そして自分はどの程度相手を愛しているのか」というような愛の損得勘定のようなものを何とはなしに考えてしまうようなところがあるのです。
そうすると子供の生まれた家族の間では、いったいどのような愛の力学が働くのかというと、これはあまり考えたことのある人は少ないかもしれないのですが、実は、特に子供の生まれたばかりの家庭というのは、今まで熱烈に愛し合っていた男女もしくは夫婦の間の愛情関係と、それから新しく生を受けた赤ちゃんとの間の愛情関係で、これはかなり微妙な話になるのですが、ちょっとした愛の奪い合いのようなことが起きることが多いのです。
つまり、例えば夫としては、「赤ちゃんで大変なのは分かるけど、自分も仕事で頑張っているんだし、もう少し自分のこともかまってほしいよ」とか、また妻としては、「私は一日中、赤ちゃんのお世話をしているのだから、あなたも会社から帰ってきたら少しは手伝ってよ」とか、それから赤ちゃんの側としては、「パパ、ママ、みんな大変なのは分かるけど、僕のおっぱいやミルク、何とかしてよ」とか、「早くおしめ変えてよ」などという具合に、ちょっとした混乱状態による愛の奪い合いのようなものが生じてしまっていることが多いのです。
この場合、最も簡単な解決策は、毎日とは言えなくても核家族の場合には、時折、おじいさんやおばあさんやお手伝いさんなど外部からのサポートを得るということになるのですが、そうした中でも私が特に大切だと思うのは、次のような三つのことになります。
まず第一には、特に子育ての中心を担うママ(もしくはパパ)は、絶対に自分が何でも一人でやらないと何もかも回らなくなるような混乱状態に陥らないようにしないといけないということと、それゆえ、できるだけ冷静に、もっとはっきり言うと些細な家のこととは考えずに、まるで会社の仕事のように割り切って、「これは今の私にも出来るけど、これはどう考えても限界なので誰かのサポートを得るか、思い切って何らかの機械化を図る」とか、「これはもっと工夫して何とか効率化して、とにかくある程度は、いつも自分が余裕がある状態にしておく」とか、「どんなに大変でも自分には、この程度の休憩と息抜きは冷静な自分らしさを保つためには絶対必要なので、何としても確保する」(不眠不休で疲労が蓄積すると、どんな人でもちょっとおかしくなってきます)などというようなある種の仕事意識というか、仕事頭脳のようなものを持つ必要があるということです。
第二には、これは旦那さん(もしくは奥さん)には朗報かもしれないのですが、ママとしては、どんなに忙しい大変な時であっても、たとえ自分の時間がほぼ100%、子供に手を取られるような状況になったとしても、精神的な態度としては、「もちろん子供はとても大切だし、子供の世話もちゃんときっちりやるけれど、精神的には自分のパートナーであるパパ(もしくはママ)が上」というような考え方を持つことがとても大切になるということです。
それというのは、特に子供に手がかかり大変な時には、ともすれば何らかの拍子に「私は疲れているの。あなたも少しは手伝ってよ」などというように夫に当たるような状況になりがちなのですが、ところが夫の側としては、今まで一心に自分のことを思い、愛してくれていた妻が一時的にいなくなってしまったような感じがして、そうした時には、逆に力になりたくてもなれないし、とても淋しい思いをしていることが多かったりするものなのです。
ですから、ともすれば子供のことばかり100パーセントの時間をさこうとしてしまいがちな妻の基本的な考え方としては、そうした大変な時こそ元々の夫婦の誓いや愛情のあり方を思い出して、「確かに子供はとても大切だし、子供の世話は常にきっちりやるけれども、気持ち的には夫の方が上というか、少しだけでも重んじてあげる」というような気持ちを持つことが、そうした頃の夫婦(男女)関係の維持にはとても大切なのではないかということです(よく分からないとは思いますが、赤ちゃんの立場からすると、その方が安心に感じていることが多いです)。
第三には、これはあまり聞かない話かもしれないのですが、特に子供を授かったばかりのママは、とにかく最初の頃は初めてのことばかりで不眠不休の大変な状況に置かれがちなのですが、私が思うには、そうした時こそ、ほんの少しでいいから、スピリチュアルなことを学んだことのある人は、ちょっとした読書や瞑想をしてみたり、ヨガや軽い運動のようなものをしてみて、もう少し客観的に自分自身のあり方を見直してみた方がよいのではないかということです。
それというのは、とにかく特に小さな赤ちゃんがいる際に良くないことは、ママがいつもいつもイライラして落ち着かなかったり、あるいは何らかの拍子に赤ちゃんに対して、「あなたのせいで、こんなに大変なのよ」とばかりに当たり散らしたり、粗末に扱ったりしてしまうことなので、そうした時こそ少しでもスピリチュアルなことを学んだことのある人は、少し落ち着いて読書や瞑想をしたり、ヨガや軽い運動をしたりして、できるだけ常に自分自身の心を穏やかで落ち着かせた状態にして、「誰だって、赤ちゃんの頃は大変なのよね」というように常に大切に優しく、いたわるような気持ちを忘れないようにする必要があるのではないかということなのです。
追伸
明日は、お休みになります。
Cecye(セスィエ)
2012年11月25日 9:06 PM, 結婚、家庭