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トランプ・ショックについて Part 7

現在のトランプ氏の様子を見ていると、選挙戦の時の彼の言動とは打って変わって、できるだけ多くのアメリカ国民から信頼され、期待されるような新大統領にふさわしい言動を心がけているようにも見える。

 次には、少し話を変えて、選挙戦の間の大統領候補と、選挙が終わった後の次期大統領の違いについて、少し考えてみたいと思うのですが、今回の選挙は、普通の「マスメディア」対「ソーシャルメディア」の対決のように言われたりしていて、これまでの大統領選挙とは、少し違った位置づけになっているところがあるようです。

 ただし、選挙戦の間は、結構過激な非難の応酬になったようなので、おそらく、ああした選挙戦の模様を見ているうちに、共和党の候補者のことも、民主党の候補者のことも、すっかり嫌になってしまい、別の党に投票したり、あるいは、投票すらせずに棄権してしまった人々も結構多かったようです。

 現在、選挙の結果が、はっきり出た後のトランプ氏の言動の様子を見ていると、選挙後の段階で、彼が「今後、Twitterでの発言は控える」と言っていた通り、現在は、選挙戦の彼の言動とはかなり豹変した感じで、できるだけ、あまり過激な言動はせずに(やはり時々、過激な発言に聞こえるものも多いですが・・・)、一つ一つ来年、大統領になった後に、できるだけ速やか、かつスムーズに政治の舵取りを行ってゆくための準備にかかっているように思われます。

 こうした現在の状況から推定すると、おそらく、トランプ氏の選挙戦略としては、大統領選挙の間は、多少敵を作っても構わないから、これまでに築き上げた自分の人気や実績に基づいて、できるだけ多くの国民の本音に近い、少しきわどい感じの言論を積み重ねながら、自分への世間の注目度や関心を上げていったり、ライバル候補との違いを強調したり、多くの人々からの人気や期待を得ようとしてきたのではないか、と思われるのですが、現在の結果を見る限り、今回の選挙の結果としては、彼のそうした、かなり変わった選挙戦略は、見事に成功したということが言えるようです。

 ただし、こうした彼独自の選挙戦略の前提は、トランプ氏自身が、これまで全く知られていなかった穴馬的な候補者ではなく、すでにアメリカで「不動産王」と呼ばれるほど一代で大きな成功を収めた大成功者であったことと、それから全米で大人気だったテレビに出演したりしていて、はっきり言うと、もうすでにトランプ氏の良い面も悪い面も、八割ぐらいは、多くの人々にはっきり理解されているだろう、というような前提条件があったからこそできた彼独自の選挙戦略だったのではないか、と思われます。

 ただ現在の調子であると、この後は、かつての一代で不動産王までのし上がった、彼の一流のビジネスマンとしての性格に戻る可能性が極めて高いということが言えるようです(実際の行動はともかくとして、やっぱり時々、多少過激な発言が出るのは変わらない気がしますが・・・)。

※正確には、トランプ氏一代で大きな成功を収めたのではなく、トランプ氏の父親の教育や巨額の資産や援助があってこその彼の成功だったようです(この文章を入れよう入れようと思っているうちに四年も経ってしまいました。2021年2月17日追記)。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2016年12月7日 9:05 PM, コラム / 政治 / 社会、文化



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