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天皇制について Part 10

②今日の感覚で冷静に見た場合、実際には、戦前の日本はナチス以上の洗脳体制だったのではないか

 第二には、これはあまり指摘されないのですが、現代人から見ると当時の日本は、はっきり言って、ナチス以上の洗脳体制だったのは、ほぼ間違いないということです。

 具体的に言うと、まずは当時の学校に行くと、天皇、皇后の写真に拝礼をさせていて、その上、教育勅語という当時の道徳の集大成のようなものをしっかり読ませて道徳教育させている上に(歴史的な実態としては、天皇を拝む宗教国家に近かった)、そうした天皇信仰を拒むものには教員の職をやめさせる等、今日の目で見るとかなり強力な洗脳教育を行っています。

 その上、当時の大多数の日本人には、まともな言論の自由や集会・結社の自由もないので、戦後の日本とはまるで違って、はっきり言うと国民の代表が政治を行っているという感覚もなければ、国民の代表が軍隊を動かしているという感覚も全くなかったのではないかということです。

 それでは当時の日本人は、どのような政治感覚を持っていたのかというと、天皇は現人神で、その天皇の意思に基づいて政治も軍隊も警察も裁判も行われているというような感覚だったのではないか、ということです。

 つまり、たとえ少々軍部が暴走したとしても、当時の大多数の日本人の感覚としては、天皇の取り巻きが、民間の出身者ではなく軍部の人々ばかりになったというような感じで、はっきり言うと戦後、いかに言い訳しようとしても、軍人が勝手に政治を動かしたというよりかは、天皇の側近が軍人ばかりになって、政治も軍隊も自由に動かそうとしたというような見方の方が、もっと正しいのではないかということなのです。

 次には、言論の自由の行使に関してなのですが、当時の日本には悪名高き特高というものがあって、かなり厳しい言論統制をしているので、はっきり言うと民間出身の政治家への悪口ならともかくとして、実際には、ちょっとでも当時の天皇や皇族や、それから軍人の悪口や批判などしようものなら、どうなるか分からなかったというのが実態だったのではないかということなのです。

 このような形で、子供のうちから天皇教に基づく洗脳教育で国家への忠誠心をかなり強く持たせた上で、長引く不況の中で軍人主導の統制国家への道を進んでいて、その上、言論の自由もなければ、集会・結社の自由もなく、当然、政治家を選ぶ自由もないというような状況は、はっきり言って今日、日本人が考える独裁国家のイメージそのものになってくるのですが、さらにその上、当時の日本では、今日の日本人の目から見ると、かなりむちゃくちゃな麻薬の使用が大々的に行われています(当時は時代が時代だったので、まだ麻薬という認識がなかったようなのですが・・・)。

 ですから戦後の日本では、当時の日本軍の武勇伝や大失態のような話ばかりが伝わってくることが多いのですが、実際には、当時の大部分の日本人はかなり強力なマインド・コントロールを受けている上に、一部の特権階級を除いて、政治や軍事に対して全く口を出すことができないのみならず、常にかなり厳しい情報統制を受け、挙げ句の果ては、酒や麻薬で気を紛らわして命を削るような、後から考えてみると大多数の人々にとっては、ほとんど訳の分からない不毛な大戦争と大浪費に付き合わさせられていたというのが、本当の実態だったのではないかということです。

※これは、現代ではほとんど知られていないのですが、大日本帝国時代のほぼすべての学校には、「御真影」(天皇、皇后の写真)と「教育勅語」が収められた「奉安殿(ほうあんでん)」と呼ばれる神社形式の建物があって、それぞれの学校の最重要の施設とされていました(つまり当時の学校は、ほぼすべて「天皇教」の宗教学校のようなところがあったということです)。当時の学校の職員や生徒は、登下校時や、そこの前を通る時には、いつも最敬礼しなくてはならなかったようで、それで、どれくらい大切にされていたかというと、火事などでそうした御真影が燃えたことが理由で、当時の学校の校長が自害することすらあったようです。

※当時の「修身」(戦後の道徳)の授業では、教育勅語の暗唱が求められていたようです。

※あと、当時の日本の代表的な祝祭日、つまり紀元節(戦後の建国記念日)、天長節(戦後の天皇誕生日)、明治節(戦後の文化の日)、それから元旦の「四大節」と呼ばれる祝祭日には、その時だけ特別に御真影を表に出してきて、みんなで天皇、皇后の御真影に拝礼して、万歳三唱し、教育勅語をうやうやしく読み上げると、さらにそうした内容に関して、学校の校長が訓示をして、最後にみんなで「君が代」などの特別な祝祭日の唱歌を歌うというような盛大なセレモニーが行われていたようです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2013年7月30日 5:04 PM, 政治 / 歴史 / 社会、文化 / 軍事



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