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天皇制について Part 8

⑤もし戦前の大日本帝国が続いていた場合には、今日、日本人が享受している平和や幸福や豊かさは、ほぼすべてなかったのではないか

 それから五つめは、これはあまり考えた人の少ない話になるかもしれないのですが、実は、今日私達が享受している日本の繁栄というのは、もし戦前戦中の大日本帝国が続いていた場合には、全くあり得なかったものだったのではないかということです。

 それというのは、戦後の日本の繁栄の理由を幾つかあげてみると、まず第一には、戦前の日本のように大軍事力を保持しなくてもよくなったので、それで浮いた資金や労働力や資源を経済の分野に集中的に投入したために、わりと短期間のうちに経済成長できたということや、第二には、日本は戦後の代表的な経済大国であり、かつ政治的軍事的なリーダー国でもあったアメリカの政治的な傘下国の一つになったために、資源やエネルギーの輸入に関しても、また日本で作った製品の輸出に関しても、戦前と違って、かなり安心して自由貿易できるようになったことと、それから第三には、戦後の日本は連合軍が主導して作った日本国憲法に基づく民主主義国になったので、言論の自由や思想・信条の自由を初めとする様々な国民の自由権や平等権の保障や、それに基づく民主政治の実現や経済活動の自由が保障されたことによって、かなり大きな繁栄が実現できたなどの理由があげられます。

 つまり、もし戦前の大日本帝国がそのまま続いていた場合には、軍事力だけはそこそこ大きいけれども、一人一人の国民の暮らしは、一部の特権階級を除いて、ずっと貧しいままになっていて、それから国際的には何かあるとすぐに孤立してしまうような軍事力の行使や政治的な発言ばかりを行ってしまうために、常に諸外国からはいろいろなクレームが来たり、圧力を加えられるような国際関係になるばかりか、おそらくは今頃の時代になっても、常に何かあると節約節約などと言って、少ない資源やエネルギーを細々と消費し続けるような貧乏国家になっていたのではないかということなのです。

 さらにはおそらく、いまだに大日本帝国憲法を「不磨の大典」などと言って煽ぎ立てては、天皇、皇后の写真(御真影)に拝礼させて教育勅語を一生懸命奉じさせようとしたり、形ばかりの言論の自由はあっても、何かあると、すぐに治安維持のためと称して特別警察が取り締まるような統制国家になっていたのではないかということなのです。

 おそらく、現代の日本人がすぐに思い浮かべる、これに近い政治風景というと、何かあるとすぐに日本人が問題視している北朝鮮や一部の独裁国や紛争国の政治風景とほとんど同じなのではないかということなのですが、もし第二次世界大戦で日本が負けていなかった場合には、そうした政治情勢はそのまま20世紀後半の日本の政治風景になっていたかもしれないということなのです。

※戦後、GHQの命令で財閥解体が行われたことは、わりと有名なのですが、現在、よく伝わっていない内容に戦前の天皇家やその親族が、そうした財閥を遥かに凌(しの)ぐような日本一の超資産家だったということと、戦後、そうした財産のほとんどが没収され、国有財産(国民の財産)になったという経緯があります。

※これは、戦前戦中の日本人の努力や行動がすべてダメだったという意味ではないので、当然のことですが、戦前戦中の日本人の努力や行動の中には、戦後の日本や国際社会の平和や繁栄に大きく貢献したことも数多くあるように思われます。

 

 このように現代日本人が、いつの間にか、ほぼ無意識のうちに信じ込まされている日中戦争から太平洋戦争、それから戦後の日本の政治情勢に関する常識というのは、冷静に考えてみる限り、実際には、ほぼ全部嘘に近い内容だったのではないかということなのです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2013年7月29日 5:24 PM, 政治 / 歴史 / 社会、文化 / 軍事



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