前に戦争についての話のところで少しだけ触れたのですが、日本の天皇や皇族についての質問が来ていたので、私の分かる範囲でお答えしたいと思います。
日本の天皇や皇族に関しては、いろいろ微妙な内容が多いのであまり詳しく述べたことがないのですが、今回もザッとした内容だけ述べてみたいと思います。
1、霊的にも論理的にも歴史的に神道と縁の深い「天皇制」と、国民の「思想・信条の自由」の保障は、うまく両立できないところがある
日本の天皇制に関する一番の問題点は、現在の日本国憲法において、一方では、国民の「思想・信教の自由」を保障しておきながら、一方では、どう考えてみても仏教、キリスト教、神道と日本にたくさんある宗教の中の一つに過ぎない神道の代表看板というか、代表神官の一人である天皇を、国家や国民をまとめるための象徴にしてしまっていることです。
それというのは、特に神道を信じているわけでもない大多数の普通の人々までが、霊的には、まるで神道の一信者のような扱いとなり、いろいろな影響を被らなくてはならないようなところがあるので、この世的な面はともかくとして、霊的に見た場合には、はっきり言って、ほぼ0点の憲法になってしまうようなところがあるからなのです(もちろん現在の憲法成立時には、天皇の形式だけ残して、実質的な政治権力をすべて制限したという点では、大きな政治的成功だったのでしょうが・・・)。
それでは、なぜ現在の憲法では、天皇を国家や国民統合の象徴にしているのかというと理由は単純で、前にも述べましたが、第二次世界大戦後、ただでさえ国内が大混乱している最中に、戦前戦中、ほぼ天皇一神教で支配していた日本の政治的宗教的大中枢であった天皇制を一気にそのままポンと廃止してしまうと、その後、かなり長期間に渡って、日本中あちこちで反政府運動や分離運動が巻き起こって、その後の日本の統治に支障を来すことが、かなり心配されたからなのではないかと思われます(参考1)。
ただ、戦後70年近く過ぎ、現在の日本では、どう考えてみてもそうした武力を使った反政府運動や分離運動は、ほぼ全く起き得ないような状況になっているので、こうした状況の場合には、もし国民の思想・信教の自由を本当にしっかりと保障するのであれば、現在の憲法上から天皇の項目をすべて削除してしまうか(その場合には、自動的に天皇制は廃止になりますが・・・)、もしくは明らかに宗教的な意味を持つ「天皇」という名称は変更して、宗教的な意味は全く持たない「国王」という名称に変更する必要があるのではないかと思われます(参考2)。
※当然のことですが、このブロブでとりあげている「天皇」は、一般には、古代から続いているとされている日本の政治制度上の「天皇」のことで、道教の北辰(北極星)を神格化した、宇宙の中心神のような意味の「天皇大帝(てんおうだいてい、てんのうたいてい)」や「北極紫微大帝(ほっきょくしびたいてい)」とは、いっさい関係ありません。
追伸
もっと簡単に言うと、現在の日本国憲法の内容の一部に関しては、明らかに現在の日本の状況とあまりにも違っているので、そろそろ変更を検討しても良いのではないかということです。
例えば、日本国憲法には、「天皇は日本国の象徴」と書いてありますが、普通、日本人だけでなく、外国人がパッと分かるような日本の象徴というと、太陽や富士山や桜などの自然の風景が思い浮かぶのではないでしょうか(外国の国旗には、そうしたその国のトレードマークになるような絵柄や、国民の大多数が信仰している宗教に関わる絵柄が多いです)。
また「天皇は国民統合の象徴」と言われても、それは大日本帝国時代の話で、現在の日本は原則、身分制もなければ、特権的な地位や階級も認めていないので、もっと多くの人々が普通に賛同できるような自由や平等や博愛の精神であるとか、平和や幸福や繁栄のような概念の方が良いのではないでしょうか。
それから「天皇の地位は、日本国民の総意(すべての国民の意思)に基づいている」とも書かれているのですが、そうした状況は、戦前の日本にも、戦中の日本にも、また戦後の日本にも、現実には全くなかったのではないかと思われます。
ですから現実の日本の社会の状況を見る限り、現在の日本国憲法の一部は、かなり現実離れした絵空事のような要素があったのではないかということです。
さらにもっと本音を言うと、日本にいるとよく分かりづらいのですが、現在のような天皇制になっていると、天皇家とは、ほとんど関係ない神道の人々も、それから、そうした神道ともあまり関係ない仏教やキリスト教の人々も、特に自分が信仰しているわけでもないような天皇家のいろいろな宗教行事の間接的な影響下に置かれてしまうので、それぞれの個人の霊的な独立性や自由性の面では、非常に迷惑なところがあります(当然のことですが、私も私の家族や関係者も、天皇や皇族及びそれに関係する団体とは、一切関係していません)。
ですから、できるだけ早く、もう少しすっきりした形の憲法に直した方が良いのではないかということです。
Cecye(セスィエ)