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民主主義国の市民としては、国同士の全面対立である戦争と、単なる事故や犯罪との区別ぐらいは見分けられる程度の知性は必要である

たとえ血なまぐさい、どろどろと混乱した非常事態の話であったとしても、国同士の全面対立である戦争と、一部の人々が起こした単なる事故や犯罪との区別ぐらいは、民主主義国の市民であるなら、ある程度はしっかりと見分けられる知性が必要である

 これはあまり聞かない話になるのではないかと思うのですが、古代や中世の時代には、現代的な観点から簡単に説明すると、「欲しいので取った」、「取られた」とか、「運良く生き残った」、「誰それが死んだ」というような単純な戦争の図式が多かったのですが、それが近現代に入ると、たとえ国同士の間で後から、いろいろそれらしい説明をつけたとしても、単純に考えて「それは国同士の戦争や対立というよりかは、人殺しや泥棒のような単なる犯罪として扱った方がよいのではないか」とか、「それは本当は戦争のような大混乱した非常事態の時に起きたことなのではなくて、後から考えてみても、ある程度妥当とみなせるような当時の国の法律を破った不当な行為として罰すればよかったのではないか」とか、前にも少し述べましたが、「それは軍隊や役所のような国家の組織が勝手に暴走して、やったのではなく、よく調べてみれば、その当時も、ちゃんとした責任者がいてやったことなので、裁く、裁かないはともかくとして、『誰それが何をしたので、こうなった』ということぐらい、誰でもすぐ分かるようにしておけばよいのではないか」というような話が結構多いということなのです。

 これは、いったい何が言いたいのかというと、現代の多くの人々は、毎日のように膨大な情報に接しているために、こうした事柄についての判断能力が、かなり失われているようなところがあるのではないかと私は思うのですが、要するに、たとえ戦争や暴動のような非常に血なまぐさい、どろどろと混乱した、いっけん非常にわかりづらい非常事態に関する話であったとしても、「それが国同士の全面対立である戦争なのか、それとも単なる事故や犯罪なのか」ということの違いぐらいは、少し調べれば、判断できるくらいの知性を持っていないと、一人一人の市民が主権を持っている民主主義国の市民としては、かなり問題があるのではないかということなのです。

 それでは、いったいどのようなことに関して、戦争と、事故や犯罪との区別がつけばよいのかというと、大まかに言うと、次のような三つのことが言えます。

 まず第一には、たとえ複数の国々の間で、何らかの非常にショッキングな緊張を要するような出来事が起きたとしても、基本的にどこの国の政治家や役人や軍人も公式には全く関与しておらず、また特に特定の人物や団体が、何らかの目的の下で故意に行ったことでない場合には、それは、ただの「事故」ということになるので、この場合には、それに関係する複数の国々の間で善意ある協力関係の下に、そうした事故の究明と解決を行っている場合には、原則それは、ただの「事故」と考えて、基本的には、いかなる国家間の問題とも対立ともみなしてはならないということです(つまり多少ショッキングな出来事が起きたとしても、それを即、相手の国の政府や国民全員の問題のように考えてはいけないということです)。

 第二には、ところがよく調べてみると、確かにどの国の政治家も役人も軍人も公式には何の関与もしていなかったのだが、ただ、それとは関係ない第三者のような人物や団体が、そうした非常にショッキングな出来事を故意に行ったことが判明した場合であっても、基本的にそうした事件を起こした人物や団体を、その国の警察や軍隊などが、普通の法律に基づいて普通に処理している場合、やはり原則、それは単に一部の人々が行った「犯罪」に過ぎないと考えて、国家の間の問題や対立とは判断しないことが大切になります。

 第三には、ただ、こうした観点から見たとしても、これはどう考えても事故とも言えないし、犯罪とも言えないし、裏である国の政府の政治家や役人や軍人などが、何らかの目的でそうした非常にショッキングな出来事を意図的に起こしたとしか考えられないという場合にのみ、「これは国と国の間の全面対立や戦争に発展するかもしれないような非常に緊張を要する重大事が起きた」とか、「一国の政治家や役人としては、国外の民間人を保護するために外交ルートを通じて、何らかの緊急の働きかけを行う必要があるような状況である」などというように判断されるのですが、要するにそうでない場合には、これは現代の出来事に関しても、また歴史的な出来事に関しても、ほぼ同じように言えるのですが、要は、国と国の間の全面的な対立関係を表しているのではなく、単に個人や集団の間で何らかの不幸な事件やトラブルが起きたという程度に扱えば、それで十分なのではないかということなのです。

 このような目で見ると、実は歴史上の話の中にも、本当は戦争の話というよりも、単なる事故や犯罪として扱った方が良いような内容も結構たくさん含まれているので、昔のことはともかくとして、現代を生きる現代人としては、こうした国同士の全面対立である戦争と、単なる事故や犯罪の区別ぐらいはある程度、パッと理解できるくらいの知性は必要なのではないか、というように私は考えております。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2012年9月21日 9:08 PM, 政治 / 軍事



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