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多数決の原理について Part 2

2、現在の選挙制度の下では、政治に精通した市民がたくさんいる国では、常に最も優秀な政治家が選ばれ続けることが多いが、その反対に政治の素人みたいな市民が溢れ返っている国では、常に無能な政治家ばかりが選ばれ続けることが多くなるので、たいへん注意が必要である

 第二には、これは、あまり考えたことのない人が多いのではないか、と思われる内容になるのですが、実は、何らかの政治的な決定や、経営的な決定において、多数決の原理を採用する場合には、次のような二つの注意点をしっかり守らないと、原則、まずは絶対に一番正しいと思われる結論には、絶対にたどりつかないということです。

 その第一の注意点としては、どんなに良識のある人々が、どんなに公正な多数決を行ったとしても、そうして選ばれた人が、政治や経営における、かなりのエキスパートのような人物でない場合には、たいてい、そうした人物は、あまり大した仕事ができないばかりか、場合によっては、かなりの大失敗をしてしまう可能性があるということです。

 ですから、こうした多数決の原理で、何らかの責任者を選ぶ際には、必ずその人物が、そうした政治や経営といった役職について、多くの人々が期待しているだけの仕事が、実際にできる人物であるかどうか、ということは、前もって、よくよく、しっかりと調査しておかなくてはならないということです。

 第二には、これも現在の社会では、かなり大きな問題を引き起こしている内容であるのですが、とにもかくにも、そうした多数決に参加する人々自体の知性や見識自体に非常に問題があることが多いということです。

 つまり、前にも述べたように、そうした多数決を行う一人一人の人間が、自分達の利益や幸福と直結するような政治や経営の運営責任者を決められるだけの、それだけの知性や見識がある人間であるかどうか、ということが、結果として、そうして多数決で選ばれた人間の出来不出来、というか、その後の成果を、あらかじめ決めることになってしまうということです。

 これは極端な喩えになるのですが、例えば、政治に素人の人達が大勢集まって、多数決で政治家を決めれば、おそらく、かなり政治に疎い素人のような人物しか政治家になれないような状況になってゆきがちでしょうし、その反対に政治に深く精通した人々ばかりが大勢集まって、多数決で政治家を決めれば、おそらく、かなり政治的にエキスパートの人物が、ほぼ確実に選ばれるようになるはずである、というような非常に簡単な予測が成り立つのですが、そうすると現在の日本のような選挙制度であると、残念ながら、いくら頻繁に選挙を行ったとしても、何度やっても何度やっても、ちょっと政治に関わると、大勢の官僚の人々から素人呼ばわりされて、すぐに政治に行き詰まるような、はっきり言うと、素人の集団のような政治家しか、なかなか選び出せないような状況になってゆきがちであったということなのです。

 それでは、政治のエキスパートのような官僚出身の人に政治をやらせると、どうなるのかというと、今度は、あちこち浪費したり、仲間の失敗には、すぐに目をつぶるような、かなり甘い、というか、国民の利益を軽視した政治運営ばかりやろうとすることが多いので、これも現在の日本だと、あまり評判が良くないのですが、ただ、多数決における基本原則としては、そこそこ専門家のプロフェッショナルみたいな人ばかりが集まって、多数決をやれば、かなりの確率で、その分野では、かなり専門家のプロフェッショナルの中のプロフェッショナルのような人物が、ほぼ確実に選ばれることになるのでしょうが、その反対に何の専門知識もなければ、何の経験もない素人の人ばかりが集まって、多数決をやれば、かなりの確率で、その分野では、とにかく、やらせてみないと、何が出来るのか全くよく分からないような素人のような人物ばかりが、ほぼ確実に選ばれるようになりがちである、というような多数決の原理の落とし穴のような内容があったということなのです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2011年10月13日 9:14 PM, 政治 / 社会、文化



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