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現在のトランプ氏の関税政策について Part 19

経済成長すると、ある段階から国内の景気には、それほど問題はないのに貿易黒字よりも貿易赤字の方が多くなってゆきがちになるようである

 再び話を戻しますが、要するに、よく経済成長している国々では、「貿易黒字が大きくなることがよくて、貿易赤字はとても悪いものだ」などというような固定概念を持つようになることが多いようです。

 しかし、どの国でもある程度経済成長した段階からは、その国の通貨の価格が上がると同時に、その国の輸出品の価格も上がって、だんだん価格競争力もなくなってゆきがちになるので、そうすると、もっと付加価値の高い輸出品にしていったり、そうした輸出をしている国々に生産拠点を移動させてゆくことも多いようです。

 また、たいてい、そうした状況では、国外からの輸入品も増えて、多くの人々の生活を非常に豊かにしてゆくと同時に国内の産業のあり方も、かなり大きく変えてゆくような産業構造の大変化が起きてゆくことが多いようです。

 そうすると、いつの間にか以前のような貿易黒字がとても大きかった時代は終わって、「いつの間にか、たくさんの貿易赤字が多いみたいなニュースが増えてきたな・・・」(日本ももうすでにそうなっています)などというような経済状況になることが多いようなのですが、ところが、それでは、それぞれの企業や個人の経済的な状況はどうなのか、というと、はっきり言って、それほど大変なわけではないし、また物価が高くなりすぎて、生活が逼迫しているわけでもないなどというような経済状況になることも多いようです。

 つまり、そうした国際的な貿易関係を通じて、経済成長した国の経済というのは、もうその国一国だけで経済関係が完結するようなことはほとんどなくなって、「この生活必需品は、別のある国で作られた輸入品で、この製品は最終的な組み立ては、うちの国でやっているのだけど、その部品や材料は海外の遠く離れたある国からのものである」などというように、その国の経済そのもの、ひいては、それぞれの企業の活動や、個人の生活そのものが、その国一国だけでは全く完結せずに、一生行くことも知ることもないような世界中の様々な国々の資源やエネルギーや、企業や個人の営みにお互いに深く依存し合っているような状況になってきているようなところがあるのです。

 そうすると、こうした現在のような世界の経済の状況では、こうしたことに関して、いったいどのように考えてゆけばよいのか、というと、だいたい次のようなことが言えます。

 要は、確かにその国が経済成長している段階では、輸出品が非常に増えて、貿易黒字が大きくなったことは、多くの人々の間で非常に強く印象に残った出来事であったかもしれないのですが、ところがある程度、経済成長して経済大国になってきた段階では、逆に以前のように輸出が増えなくなってきたり、輸入が大きく増えてきたことが、非常に強く印象に残るようになってゆきがちであるということです。

 つまり、今日のような世界規模の自由貿易体制の中で、ある程度経済的に豊かになってきた場合には、そうした古い貿易黒字や貿易赤字の貿易収支のイメージは捨てて、「現在、我が国は貿易赤字は増えてきているようだけれども、それ以外の金融やデジタル収支は良好で、通貨の状況も国内の景気も、それほど問題ないので、それでよしとすればいいのではないか」「現在、我が国の景気は良すぎて、外国からの輸入品が増えているようだが、別に問題はないだろう」などというように考えてゆけばよいのではないか、ということです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2025年7月9日 9:06 PM, 予知、予言、未来予測 / 人生観、世界観 / 政治 / 歴史 / 知恵、正しさ / 社会、文化 / 経済



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