少し前に書いていた「人間の知性の働きについて」の話の続きになります。
次には、もう少し難しい問題について考えてみたいと思うのですが、それは、人間が様々な物事を知ることと、人間の欲求の関係についての話になります。
これは、あまり深く考えたことのある人は少ないのではないか、と思うのですが、人間が「何かが欲しい」とか、「何をしたい」と強く望むこと、つまり何らかの欲求を持つことと、人間が、何かを知ること、わかることの間には、いったいどのような関係があるか、ということについて、ここでは考えてみたいと思います。
大まかに言うと、次のような十のことが言えます。
※ここでは、人間が、ある程度よく考えるような感じで、知的にしっかり理解するような意味の「わかる」という言葉ではなく、もっと単純に様々な物事のことを、知的にパッと理解するような意味で「知る」という言葉を使っています。
1、人間は、よくわからないものを見つけると、本能的に「それが何なのか」、知ろうとするような性質がある。
まず一つめは、これは単純な話になるのですが、例えば、小さな子供が、いろいろな物を見聞きしたり、様々な体験をしている間には、「あ、あれ、なんだ?」とか、「あれ、なんで動いているのかな?」とか、「え、どうして、こうなったの?」などというように、その時の自分として、うまくよく理解できないようなものがあると、じっとよく見聞きしてみようとしてみたり、手を伸ばして触ってみようとしてみたり、あるいは、ハイハイしていって顔を近づけて、口に含んでなめてみようとしてみたりして、それは、いったいどんなものなのか、ということを、かなり真剣に一生懸命知ろうとしていることが多いものです。
つまり、こうした小さな子供の言動から推測すると、どうも人間という生き物は、常に自分が見聞きしたり、体験したりしているものの中で、その時の自分として、あまりよくわからないものを見つけると、本能的に何とかして、それがいったい何なのか、ということを知ろうとする性質があるということが言えるようです。
Cecye(セスィエ)