それから三つめは、これはさらに問題なのですが、実は、大日本帝国憲法には非常に大きな問題があって、それは、いくら表向きは国民の言論の自由や政治活動の自由を保障しているといっても、それは先ほども述べたように常に大日本帝国憲法が定めている言論の枠や政治活動の枠の範囲内にきっちり収めさせるような仕組みになっていたので、つまり、いったん大日本帝国憲法が定まってしまった後の日本では、たとえ誰がどんなに正論で正しい具体的な根拠に基づく素晴らしい提案や改革案を述べたとしても、基本的に大日本帝国憲法が規定している内容の範囲内でしか公の議論も変更も全くできないような状況になってしまったのです。
そうすると単純に言うと、その後、何か問題が起きるたびに、「これは時代に合わないので変えよう。でも憲法に触れる内容は、やっぱりそのままにしておこう」とか、「こんなことを続けていたら国が続くわけないだろう。だから何とか変える方法はないかな。ああ、でもやっぱり憲法に触れるし、天皇の威光や国家の権威に関わるようなことをすると自分や家族に何をされるかわからないから、そのままにしておくしかないか」などというようにその後の日本では、常に何かしら大問題が持ち上がるたびに、それなりにごちゃごちゃと様々な議論が世の中を賑わすことは賑わすのですが、結局、表向きの人物や組織ややり方などを少々変えるだけで国の根幹をなしている憲法や天皇のことはそのままにしておくというような状況がずっと続くような状況になってしまったのです。
※あと戦前戦中の大日本帝国時代には、昭和天皇・裕仁は、「現人神(あらひとがみ)」(この世に人間として現れた神のような意味です)として当時の日本国民から崇められるような立場にあったのですが、それが戦後、GHQにより「人間宣言」を行なわされて普通の人間としての立場になったとされています(本当はあまりはっきり宣言していないという説もありますが・・・)。ところが、死後葬られた墓所(武蔵野陵)を見ると昭和天皇が没した当時、国民の税金でかなり大金をかけて、ほぼ国葬に当たるような「大喪(たいそう)の礼」と呼ばれるような大葬儀を行ったにも関わらず、なぜか墓所は、それ以前の大日本帝国時代に造られた明治天皇、大正天皇とほぼ同じような大きさと作りの鳥居があって参拝ができる、つまり、まるで神を祀(まつ)るような作りの墓所になっているのです。これは昭和天皇本人の意思か、あるいは、昭和天皇を取り巻く皇族などの意思かはよくわからないのですが、こうした墓所から推測すると、現在も一部では昭和天皇・裕仁という人物は、あたかも非常に無欲で有徳な天皇であったかのように喧伝されているようなのですが、本当は昭和天皇本人の意思としては、やはり人間宣言などまっぴら御免で、ずっと国民津々浦々から崇められる現人神のままでいたかったし、また死んだ後も明治天皇みたいに神様扱いしてもらいたかったのだろうな、と率直に考えざるをえません。普通、現在の日本国憲法下で国民の税金からお金を出して、国葬レベルの葬儀をやり、特別な墓所を作るのであれば、神ではない普通の人間であることを宣言した人物に対して、たいていの日本人が「神」を祀っている場所だと思うような形で鳥居を設けたり、参拝させたりするようなタイプの墓所を作るのは完全に間違っているのではないでしょうか。あと昭和天皇の妃(きさき)の香淳(こうじゅん)皇后・良子(ながこ)の墓所も鳥居があって参拝するタイプの墓所なので、ほぼ同じような問題を抱えているように思われます(天皇が普通の人間であるのと同じように皇后も皇族も全員普通の人間なので・・・)。それから昭和天皇と香淳皇后の墓所(武蔵野東陵)は宮内庁の管理下にあるので、以後の維持費も現在国民が税金で負担していることになるのですが、そうすると現実には全くそうした事実はないにもかかわらず、いつの間にか、まるで現在の国民が昭和天皇や香淳皇后を死後、まるで神や女神として認めたかのように受け取れないでもないので、霊的にはかなり問題が多いということが言えるようです(あと普通、こうした状況は、国民の信教の自由が侵害されていることになると思うのですが・・・)。
※実際、昭和天皇の弟に当たる「秩父宮雍仁(ちちぶのみややすひと)」親王は、亡くなった年の1953年に「秩父神社」に祀られる神として、「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」などと一緒に合祀されています。霊的には、天之御中主神と言えば、日本の神話では天地開闢に関わったとされる神々の一人なので、そうした大昔の神々と近現代以降の昭和天皇を初めとするような天皇や皇族との関係性は全くないものと思われます。なお「秩父宮家」は、1922年に創設された宮家(「宮」の称号のついている皇族のこと)なので(1995年に断絶していますが・・・)、特に最初から秩父神社と深い関係があったわけではありません。
Cecye(セスィエ)