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「愛」について Part 9

 第二には、今回は、世間で時折、多くの人々によって、語られているような「愛」に関する、ちょっと難しい問題の話になるのですが、それは、「人は、いったい、どれくらい他の人々や生き物達を愛すれば、本当の満足感を得られるのか」というような、いわゆる愛の量や愛の質、それから愛にまつわる本当の精神的な満足感についての話になります。

 これは少し難しい哲学的な内容も含んでいるので、最初に、ちょっとだけ具体的な例をあげて、説明してみたいと思います。

 例えば、昔々、戦乱や飢饉や疫病や天災などで、すっかり荒れ果ててしまったある地域において、一部の人々が、何とか、その世界の多くの人々の苦しみや悲しみを和らげ、少しでも平和な幸福な世界にしたいと望んだとします。

 さて、その時にそうした人々は、いったい何をすればいいのか、ということが、ここでは問題になってくるのですが、これが意外と難しくて、例えば、一部の人々は、少しでも平和な世界を望むために一心に祈ったり、瞑想したりすることもあれば、また一部の人々は、一人でも多くの人々の苦しみを癒し、助けるために一心に医療行為に従事することもあるし、また、そうした人々の立場とは全く違って、一部の人々は、少しでも多くの人々の平和や安全を確保するために砦を作ったり、防衛に特化した、誰でも簡単に使えるような武器を作ることもあれば、また一部の人々は、そうした戦乱や混乱の世そのものを終わらせるために大軍事勢力を作って、その世界すべての平定を目指そうとすることもあるし、それから今度は、そうした軍事的なこととは一切関係なく、一部の人々は、とにかく少しでも楽しく豊かな生活を実現するために、何らかの便利な道具を作ったり、それを売って、商売に励むこともあれば、また一部の人々は芸を磨いて、多くの人々を明るく元気づけるような楽しい感動的なパフォーマンスをすることもあるなどというように、実は、戦乱や飢饉や疫病や天災などで荒れ果てた世界を立て直して、多くの人々を救いたい、というような、いっけん、ほぼ同じような目的があったとしても、結局、その人その人の生まれや生い立ちや身分や立場や、あるいは才能や能力や、その後の努力やチャンスによって、実際には、全く違う人生の展開が起きてくるようなところがあるのです。

 そうすると、いっけん言葉の響きとしては、非常に素晴らしく心地よく、また尊い「愛」という理想の実現のためであっても、結局、それぞれの人々の置かれた立場や状況によって、全く異なる行為と、全く異なる結果が、次々と起きてくるようになるということなのですが、そうすると、よく考えてゆくと、この時点で愛には、そうした愛そのものに含まれる、かなり大きな根本矛盾のようなものが存在しているのではないか、ということに気付かされるのです。

 それでは、その愛そのものに含まれる根本矛盾とは、いったい何であるのか、というと、これは哲学書ではないので、細かな論理展開は省略して、大まかな要点だけを説明したいと思うのですが、要するに手短かに言うと、「愛」というのは、ほぼ万人に受け入れられるような非常に尊い、また非常に素晴らしい魅力的な概念であるにも関わらず、次のような四つの点で、ほぼ最初の時点から、かなり根本的に矛盾した要素を持っているというような非常に大きな問題が隠されているのではないか、ということなのです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2012年12月19日 9:01 PM, おすすめ記事 / 人生観、世界観 / 健康、医療 / 宗教、道徳 / 愛について / 歴史 / 知恵、正しさ / 社会、文化 / 科学、テクノロジー / 経済 / 芸術、美 / 軍事



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