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多くの人々は、言語力の差によって、全く気付かないうちに社会的地位や経済力の格差を受け入れざるを得ないようなところがあった Part 2

2、単なる日常言語の他に、専門的な職業や学問の種類によって、それぞれの人が使っている言葉の世界には、さまざまな内容がある

 それぞれについて、もう少し細かく述べると、まず第一には、これは、特に一昔前の時代に農業や牧畜や漁業などで生計を立てていた人々の言葉についての話になるのですが、この場合には、たいてい毎日、というか、1年間のいろいろな農作業や牧畜や漁業などの仕事に関わる専門用語と、それから普段の生活に使ったり、人間的な感覚や感情を表現するための日常用語と、それ以外には、せいぜい、その人の信じている宗教に関わる言葉や、あるいは、その人の趣味に関する言葉がメインの生活になるので、はっきり言うと、それ以外の文学や学問や科学や法律などのような、ちょっと抽象的で難しい概念の言葉を聞くと、たいてい、もうそれだけで、ほぼ反射的に「難しい、分からない」というような感想を持つような感じで、一生を終えることが多かったように思われます。

 第二には、これは昔は、せいぜい、その国の人口の1〜2割ぐらいの人々だけの話だったにも関わらず、おそらく、その国が経済成長した後には、5〜6割ぐらいの人々が関わるようになったのではないか、と思われるような職業の話になるのですが、要するに、少し専門的な商工業に従事するような人々の使う言葉に関しては、おそらく、今述べたような言葉に加えて、商業や工業に関する専門用語を、そうした知識や技術の修得によって、最低でも数百から千数百語ぐらいは、日常的に、まるで当たり前のように使っているということと、それから、そうした人々は多少、経済的にゆとりがあったり、仕事柄、多少、芸術や教養的なことに関心があることも多いので、場合によっては、そうした芸術や教養に関する専門用語も加えて、さらに数百語から千語ぐらいは、もう少し多くの言葉を使いこなしているのではないか、と思われます。

 それから第三には、これは、ある意味で、そうした言葉の創造に関する専門家のような人々であると言ってもよいような人々なのではないか、と思われるのですが、要するに、単に「楽しい」とか、「寂しい」とは言わずに、「深い赴(おもむ)きがある」とか、「心の奥に強い郷愁(きょうしゅう)を覚えた」などというように、もう少し芸術的な文学的表現を使ったり、あるいは、「たのちぃ〜!」とか、「ネクラな貴方に朗報!」などというように、新しいキャッチ・コピーや広告を考案するような人々の言葉になってきます。

 要するに、こうした人々の言葉というのは、単に言葉を知っているだけでなく、もう少し創造的、かつ芸能的、あるいは、商業的に「言葉は、こういう風に使った方が、多くの人々の印象に残る」とか、「普通、こう言うところを、あえて、こういう風に言葉を変えることによって、より面白い感動的な表現にしよう」などというように、言葉というものを、より専門的に深く研究したり、作り上げたりしている人々であるということです。

 第四には、今度は少し違って、学問や科学技術に関する専門用語の世界というものがあるのですが、これは分野にもよるのですが、たいてい天文学なら天文学、化学なら化学、それから医学なら医学・・・、などという具合に、それぞれの分野で、その分野特有の特殊な知識や概念や技術を説明するために、最低でも一分野あたり、千数百から数千ぐらいの専門用語は、ある程度、詳しく知っていないといけないというような感じになるのではないか、と思われます。

 第五には、これは、こうした人々とは、かなり立場が異なってくるのですが、要するに外国語の正式な通訳や、政治や外交や法律などの分野において、「この言葉の意味や使い方は、過去の定義や使用例から、必ず、こういう意味や使い方である」とか、「こう言われた場合には、必ず、こう答えなくてはならない」とか、あるいは、「この言葉を正しく翻訳すると、こういう意味で、こういうニュアンスがある」などというように、どちらかと言うと、「言葉で遊んだり、言葉で何かを創造する」というよりかは、とにもかくにも「言葉の意味や使い方の正確性が求められる」とか、「そうした言葉の使い方を誤ると、多くの人々の利害に関わるので仕事に差し支える」というような一群の仕事に関わる言葉の使い方になります。

 こうした場合には、一つ一つの言葉に対して、かなり神経を使う職業になってくるのですが、おそらく、かなり簡単なものでも、数千ぐらいの言葉の、かなり正確な意味や使い方や、それから微妙なニュアンスに関してまで、実際に仕事で使えるレベルで、かなり詳しく知っているような、言ってみれば、言葉の正しい定義や使い方のプロのような人々であると言ってよいのではないか、と思われます。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2012年10月12日 9:03 PM, 教育 / 知恵、正しさ / 社会、文化



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