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原子爆弾について Part 4

③もし原爆投下がなく終戦が遅れた場合には、その後、日本は北側からのソビエト軍と、南側からのアメリカ軍主体の連合軍にはさまれて、北日本と南日本の二つの国に分断されたと思われるが、さらにその後も内戦や貧困や恐怖政治により、かなり長期に渡る大停滞状態になったものと推定される

 第三には、そうすると、ほぼ確実に言えるのは、よくアメリカの政治家や軍人が言う原子爆弾に対する見解、つまり「あの原子爆弾を日本に使ったために戦争終結が早まったので、結果として見ると、アメリカを初めとする連合国側の人々にとっても、また多くの日本人にとっても、軍事的には良い結果が出た」というような主張というのは、当時の状況から客観的に考えてみる限り、ほぼ確実に合っているということになります。

 つまり、もし当時、実用化したての原子爆弾を日本に、しかも、ほぼ完全な報道統制を敷いていた当時の大日本帝国政府が絶対に隠せないような、少々市街地が近くにあったとしても、非常に目立つ軍事的な最重要拠点に(つまり国外とか、海上ではなくて)、どれくらいものすごい威力があるか、できるだけはっきりと分かるような形で使えば、いくらその時点でも、ものすごい強硬派ばかりがひしめいている日本の軍事政権でも停戦協定に応じるのではないか、というような当時のアメリカ政府、並びにアメリカ軍の考えは、実際、かなり合っていて、もしそうした形でアメリカが、当時の超最新兵器だった原爆を使わなかった場合には、確かにその後、1945年末になっても、2年、3年と、当時の大日本帝国政府が停戦協定を引き延ばしたのは、あの状況で、だらだら戦争を継続していた当時の大日本帝国政府の状況から客観的に推測する限り、ほぼ確実だったのではないかということなのです(これは決して原子爆弾の使用が良いという意味ではないのですが・・・)。

 その場合の連合国側、並びに日本側の犠牲者を単純に推定するに、おそらく最低でも、さらに200〜300万人ぐらいは余計に亡くなる人々が増えたのではないかと思われるのですが、さらにその後の状況を推定すると、おそらく日本の北側はソビエト軍に占領されて、共産主義陣営となり、それから南側はアメリカ軍に占領されて、資本主義陣営となり、南北日本に分断されるような国の状態、つまり今日の「北朝鮮」と「韓国」の関係みたいな南北国家に分断された可能性が極めて高いのですが、その際には、さらにその後、米ソ冷戦の勃発と共に、南北日本がお互いに敵味方に分かれて、ものすごい大戦争をする、つまり昔の朝鮮戦争の日本版、「日本戦争」が何年か後に始まり、おそらく、そこでさらに数百万の犠牲者が出た上に、当然のことですが、その後の復興も経済発展もなく、北の強硬な軍事政権と南の資本主義陣営に属する軍事政権との間でずっと、にらみ合うのみならず、時々交戦状態に陥るというような事態になったのではないか、ということです。

※おそらく朝鮮戦争だと、アメリカを中心とする国連軍は、日本の本土を後方のバックアップに使えたので、かなり有利だったのですが、そうした形で日本戦争が起きた場合には、そうしたバックアップになりそうなアジアの有力国が当時はないので、アメリカを中心とする連合国は、北日本(「北日本民主主義人民共和国」みたいな名前ですか?)に押されて、どこかの段階で全面撤退して、日本は共産主義陣営に組み入れられて、非常に長期間に渡る停滞状態に陥るような状況になったのではないかと思われます。

 このように「もし日本に原爆が落ちなかったら、どうなったのか」ということを考えてゆくと、現代日本人にとっては、かなり恐ろしいというか、本音的に言うと、「世界のニュースで時々他人事みたいに、どこかの国で起きるなら、まだ少しは我慢できるかもしれないけど、自分の国で起きたら絶対嫌だ」というような国家の運命、つまり戦争はさらに長引き、沖縄以外にも九州、北海道、四国、中国地方、関西でも、あちこちで玉砕、特攻・・・、という具合にさらに戦渦が広がってゆき、やがて、当時の日本の軍事政権が完全に瓦解するような形で終戦を迎え、その後は、北日本と南日本に分かれて「日本戦争」の勃発によって、同じ民族同士で散々殺し合いをやった後に、結局、アメリカ陣営は日本から撤退し、日本は共産主義陣営に入り、非常に長期に渡る経済の停滞どころか、恐怖政治で、その後、さらに多くの人々が無実の罪で捕まり、殺されるような事態になるが、どこの国も積極的に干渉せずに放ったらかしにされ続けたまま、20世紀の末を迎えるというようなシナリオになったのではないか、ということなのです。

 ですから、当時の超最新兵器であった原子爆弾を、たとえ最重要な軍事拠点であったとしても、軍人だけでなく、民間人も多少いるような市街地も含まれる場所に半分実験も兼ねたような、ぶっつけ本番の状態で落としたアメリカ軍の軍事作戦は、多少非難されても仕方ないようなところがあるのは確かに事実なのですが、ただ、もしアメリカ軍が、そうした原爆を使わなかった場合には、終戦はさらに長引き、翌年、翌々年と、いつまでも続いて、さらに莫大な被害者が出たばかりか、その後の日本軍事政権の完全崩壊で共産主義陣営に入った日本は、長期の経済停滞のみならず、かなりひどい恐怖政治の中で、21世紀に入っても、いまだに全然発展の見込みなしというような、もっともっとひどい状態に入ったかもしれないというようなシナリオもあり得た、ということはよくよく知っておくべきなのではないかということです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2012年8月8日 9:09 PM, 政治 / 歴史 / 軍事



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