もともと、ただ一つの中心にまとめておけば、良さそうなものを、多くの人々に、あたかも、「何でも、まっ二つに分割できる」、と信じさせてしまいがちな「陰陽説」の支配する国や地域では、多くの人々の間に、必要以上の対立や闘争が増えたり、「無」の宗教や、占いに基づく運命論が、ガチガチに支配するような、いびつな社会になってゆきやすい、という大問題があるので、非常に注意が必要である
さて、それでは、こうした、さまざまな観点からの物の見方の上に立つと、最初に述べたような、「陰陽」の思想というのは、いったい、どのような位置づけになるのか、というと、だいたい、以下のような七つのことが言えます。
1、物事は、「何を基準にするか」、とか、「どんな分け方にするか」、ということによって、いくらでも、いろいろな分け方が成り立つようなところがあるので、現実的な観点としては、何でも単純に、「陰」と「陽」に分類するような考え方というのは、一種の極論に近いようなところがある
まず第一には、これは、前から述べてきたことで、かなりはっきり分かると思われるのですが、要するに、物事を、何でも「陰」と「陽」の二つの要素に分けて、考えてゆこうとするような考え方というのは、現実的な観点としては、あまり現実の状況とは合っていない、というか、言ってみれば、かなり極端な一種の極論のような物の見方なのではないか、ということです。
つまり、理屈だけなら、ともかくとして、現実の世界の実態としては、いっけん、非常に単純な、たった二色の「白」と「黒」の色の違いの中にも、専門的には、さまざまな色の違いがあったり、あるいは、温度の違いに関しても、何を基準にするかによって、単純に、「何度以上が熱い」、とか、「何度以下が冷たい」、などとは言い切れないようなところがあるので、はっきり言うと、何でもかんでも、二つの分類に分けて、それで、すべて分かったような気分になるのは、かなりの暴論に近いところがあるのではないか、ということです。
2、「陰」や「陽」などと分類されている、たいていのものは、何らかの基準で、何らかの一つの対象の状態や、エネルギーの量や動きなどを計ってみた際に、単にプラス(陽)と判断されるか、マイナス(陰)と判断されるか、ということ程度の違いに過ぎないのではないか
第二には、これは、前に「ゼロ」についての考察のところで述べたことと、基本的には、全く同じ見解になるのですが、何でも物事を「陰」と「陽」の二つの要素に分けて、考えてゆく「陰陽説」には、根本的なところに、論理の矛盾ばかりでなく、現実の世界との矛盾があるのではないか、ということです。
それは、いったい、何なのか、というと、例えば、電気の「プラス」と「マイナス」というのは、確かに、多くの人々は、いっけん、二つの電気の種類があるように考えがちなのですが、ただ、実際には、「電気のプラスとマイナスというのは、ただ一つの電気の流れ(電流)が、入ってゆく側と、出てゆく側の違いに過ぎない」、とか、あるいは、光と闇や、熱さや寒さの違いというのは、そうした「光という存在と、闇という存在がある」、とか、「熱さという存在と、寒さという存在がある」、ということなのではなくて、本当は、「ただ一種類の光のエネルギーが、単に多いか、少ないかの違いしかない」、とか、あるいは、「ただ一種類の熱エネルギーが、単に多いか、少ないかの違いしかない」、などというように、本当は、何らかの種類のエネルギーが、どちらに向かって、流れているか、とか、多いか、少ないか、というような違いを、かなり極端に分類して、それが、あたかも、二種類存在しているかのように錯覚しているだけなのではないか、ということなのです。
ですから、こうした観点から考えてみる限り、実際の世の中というのは、すべて、「陰」と「陽」に分かれているのではなくて、たいていのケースの場合には、何らかの基準で、何らかの対象の状態や、エネルギーの量や動きなどを計ってみた際に、それが、プラス(陽)として、判断されるか、あるいは、それが、マイナス「陰」として、判断されるか、というような、その程度の違いのことだったのではないか、ということです。
※要するに、ポジティブ(陽)か、ネガティブ(陰)か、というのは、本当は、二種類の全く正反対の存在が、ガチガチに存在しているのではなくて、たいてい、そうしたものの大半は、何らかの一つの種類の存在やエネルギーの状態のことを、単に、「大きい」、とか、「小さい」、とか、あるいは、「高い」、とか、「低い」、などと説明しているだけなのではないか、ということです。
例、電流(プラスとマイナス)、熱量(熱いと冷たい)、光量(明るいと暗い)、色の明度(白と黒)、人間(男と女、大人と子供)、生物(動物と植物)、エネルギー(強い、弱い)、などなど・・・。
Cecye(セスィエ)
2012年7月1日 9:02 PM, おすすめ記事 / スピリチュアリズム、霊界 / 中国思想 / 人生観、世界観 / 宗教、道徳 / 知恵、正しさ / 科学、テクノロジー