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占いが権威を持ち、盛んな国というのは、まだ政治や経済の発達が未成熟で、多くの人々が、自分の置かれた立場に慢性的な不平や不満を抱えた社会であることが多い

 今回から「占い」について考えることを、少し述べてみたいと思います(ちなみに私は、占いを全面否定する立場でも、全面肯定する立場でもありません)。

 

占いが、ものすごく権威を持ち、流行(はや)っている社会というのは、その占いがよく当たるから流行っているのではなくて、本当は、まだ政治や経済が未発達で、ほんの一握りの人のみが、ものすごい幸運に出会って、成功や活躍ができるような未成熟な社会だからである

 まず第一には、これは多分、原則、世界中、どこの国も同じなのではないか、と私は思うのですが、占いが、ものすごく権威を持ち、盛んな国というのは、たいてい、一人一人の才能や能力によって、やれば、やった分だけ成功できるような社会ではなくて、たいていの場合、例えば、「同じような才能や能力の人が、ものすごく大勢いるにも関わらず、なぜか、その中のごく一部の人のみが、政治家やお金持ちや有力者の引きによって、ものすごく大成功している」とか、あるいは、「ほとんど同じような容姿や性格であるにも関わらず、なぜか、その中のごく一部の人のみが、誰かの引きによって、ものすごく大成功している」などというように、要するに、ものすごく大勢の似たような才能や能力や容姿や性格の人間がいるにも関わらず、ほとんどの人は、あまり大した成功を手に入れることができずに、ほんの一握りの人のみが、大成功を手に入れられるような社会であることが多いのです。

 その理由は、とても単純なのですが、例えば、ここにほとんど同じような才能、ほとんど同じような能力、それから、ほとんど同じような容姿で、ほとんど同じような性格の人間がいるにも関わらず、残念ながら、その社会や業界では、そうした人々全員が十分満足できるような成功の機会や活躍のチャンスが与えられないような場合には、仕方なく、これは表向きはいろいろ、それなりに正当そうな理由をたくさんつけることが多いのですが、「厳しい試験」とか、「公開オーディション」とか、「身内の引き」などによって、そうした、ほぼ似たような人々の中から、ほんの一握りの人間のみを選び出して、何らかの成功や活躍のチャンスを与えることになるのですが、ところが、こうした成功や活躍のチャンスを逃した多くの人々から見ると、「あの人と自分は、才能的にも能力的にも、あるいは、容姿や性格的にも、ほとんど違いがないように見えるのに、自分が選ばれないということは、これはきっと、あの人には、何かものすごい運命があるんだ!」とか、「これは絶対、何か運勢のようなものがあって、一人一人の人生が決まっているに違いない!」というような感覚を持つようになってゆきがちであるということなのです。

 そうすると、「そうした、ほとんど同じように見える、それぞれの人の運命をあらかじめ知ることができれば、それによって、自分の未来は、何とか開けるのではないか」というような素朴な期待が生まれることになるのですが、ただ、はっきり言って申し訳ないのですが、よく考えてみると、これは本当は、それぞれの人の運命の問題なのではなくて、経済学で言うような「需要」と「供給」の問題、つまり、成功すれば、そこそこ大きな収入や地位や名声は得られるようになるかもしれないけれど、ただ、その仕事の性質上、その時点では、あまりたくさんの人数が採れないような特殊な仕事の求人募集のところへ、あまりにもたくさんの人々が、一挙にドッと押しかけてきていること自体が問題なので、本当は、「それぞれの人に運命があるどうこう・・・」の問題なのではなくて、そもそも大して人が採れないようなところに、あまりにもたくさんの人々が、一斉に押し掛けてきていること自体が問題なのではないか、ということなのです(反対に、その求人の口が増えれば、相対的に不平不満は減ることになります)。

 ですから、こういう話は、あまり聞いたことがないのではないか、と思うのですが、実は、占いのようなものが、その社会で、とても権威を持ち、幅を利かせているような社会というのは、まだまだ政治や経済が未発達で、それぞれの人が努力しても、あまり大した成功や活躍ができない社会であるということと、もう一つは、もし、そうした社会において、占いのようなものが流行っていたとしても、実際には、「それぞれの人には、運命がある云々(うんぬん)・・・」というよりも、どちらかというと、少ない求人のところに、あまりにも多くの人々が、そのチャンスを得るために、ドッと押し掛けすぎていること自体が問題なのではないか、というように考えることもできるのです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2011年12月4日 9:02 PM, おすすめ記事 / コラム / 人生観、世界観 / 政治 / 社会、文化 / 経済



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