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昔の大日本帝国憲法の問題点について Part 6

 二つめは、これはさらにもう少しややこしい話になるのですが、実は、明治時代に作られた大日本帝国憲法には非常に大きな欠陥があって、一見非常にしっかりした憲法の作りにはなってはいるのですが、よく文面を読んでみると、例えば、「これは天皇が決めて、やっていいことだけど、本当は首相や大臣が決めて、やっていること」とか、「これは天皇の名で執り行なうことなんだけど、本当はその時々の首相や大臣や軍人や役人が執り行なうこと」とか、あるいは、「これは天皇という非常に宗教的な神聖な存在がいて成り立っていることなんだけど、実際には、○○というかなり有能な政治家や役人や軍人がいて、何とか成り立っていること」などというように、はっきり言って、そうした大日本帝国憲法で規定しているほぼすべてのものが、名義的には天皇や皇族、だけど実際の実務は元○○藩出身の○○とか、非常に有能な○○などというように、多くの人々に対して非常に神聖な権威を与えるための表向きの名前や建前と、実際にそうした仕事を行う人間の実務や責任の立場や関係が、外部の人々からはほぼ全く責任を追求されないような形で完全に混同して扱えるようになっているようなところがあるのです。

 その結果、明治時代の頃は、非常に神聖な天皇の大権を常に演出しつつ、実際には、国中あちこちから反対者続出の大改革を元々下級武士出身の非常に有能な人々が、多くの人々を誤摩化したり欺いたりしながら、うまく成し遂げてゆけるような点で、こうした大日本帝国憲法というのは非常にうまく機能しているようなところがあったのですが、ところが、やがて、そうした明治時代の指導者達が一通り亡くなって、いなくなってしまうと、今度は、そうした天皇の権威に様々な人々がうまく取り入ったり、ぶら下がったりするような形で、はっきり言うと、普通の市井の人々から見ると、いったいどこの誰だか全くわからないような人々が、当時の大日本帝国の政治をまるで絶対の神の権限の持っているかのような形で、ほぼ完全に牛耳れるような、かなり異常な政治体制に変化していってしまったようなのです。

※現代日本人には、よくわかりづらい問題に大日本帝国時代の憲法と法律の関係があるのですが、現在の日本国憲法は日本国の最高法規になっているので、原則、憲法に反するいかなる法律も作れないし、運用もできないことになっているのですが、それが大日本帝国時代ではかなり違っていて、政治的な実態としては、例えば、当時の皇室典範は憲法の制限を全く受けていないとか、あるいは、憲法の中で憲法ではなく法律に従うような文面があまりに多すぎるために簡易な法律の施行や変更だけで、後からいくらでも実質的な憲法の中身を変えてゆくことができるなどというように現代の多くの人々の思い込みとはかなり違って、その時々の政治家や軍人や役人の立場によって、わりと簡単に憲法の制限を全く受けることなく、様々な法律や勅令(その時々の天皇の命令)が作られることが多かったように思います(例えば、大日本帝国憲法では、原則、国民の自由や財産は保障する旨が述べられているのですが、後の国家総動員法では、完全にそれらを全面否定しています)。つまり政治的な実態としては、現代の日本とは全く違って、おそらく大日本帝国時代には、最初の時点から憲法違反はしょっちゅう起きていたのではないでしょうか。

※あと現在の日本国憲法と違って、大日本帝国憲法では、「憲法上のこの条文では、これはいいことになっているけど、実際には別の条文によって、実質ダメなことになっている」というような憲法上の国民への制限がかなり大きいので、こうした点でも実態としては、民主的なものとも、また国民の人権を重んじたものとも全く言えないようなところがあったように思われます。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2015年9月14日 9:06 PM, 政治 / 歴史



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