三つめは、それでは、こうした現在の世界の問題を踏まえて、今後の世界の経済体制では、いったい、どのような方向性が大事になってゆくのか、というと、だいたい次のようなことが言えます。
1、現在の世界では、非常に平和で民主的で、多くの人々が非常に自由で豊かな幸福な世界を目指してゆく世界の方向性と、果てしなく戦争や混乱が広がって、多くの人々が、非常に不自由で貧しく不幸な世界を目指してゆく世界の方向性が、様々な場面でお互いにぶつかり合っている
21世紀初頭の現在の世界は、今から80年近く昔に起きた第二次世界大戦後に設立された「国連」や、先進国の国々などが中心になって、世界の主だった方向性を定めてゆくような体制になっているのですが、ところが先ほども述べたように、戦後80年近い時が流れてしまったために、現在の世界の状況というのは、そうした第二次世界大戦直後の時代と比べると、多くの国々の国力の関係や、実際の状況などの点で、かなり大きく変わってしまったところがあるわけです。
それゆえ例えば、第二次世界大戦直後の元々の国連のコンセプトとしては、「世界中の国々が、第二次世界大戦の大変な戦禍を経験したので、もう二度と再び戦争を始めるようなバカな国はないはずだ。だから当時の戦勝国が常任理事国として、国連のトップに君臨して、もし何か侵略戦争でも始める国が出てきたら、一致団結して、武力行使も辞さないような強力な圧力をかければ、今後、もう二度と世界規模の大戦争など起きるはずないだろう」というような考えに基づいて、当時の国連の仕組みが考えられたのではないか、と思われます。
ところが残念ながら、実際にはそうした歴史の流れにはならなくて、その数年後には米ソの冷戦が始まり、朝鮮戦争、ベトナム戦争などと様々な局地的な戦争が起きてゆくような歴史の流れになっていってゆきました。
その後、1980年代後半になると、ソ連は崩壊して、冷戦は終結したので、西側の国々が、そうした元共産圏の国々に様々な援助を行ったり、彼らを西側の国々の経済圏に取り入れて、世界は一つの大きな経済圏にまとまってゆくような流れになるように思われたのですが、残念ながら21世紀初頭の現在の辺りの時代になると、再び欧米の国々と、そうした元共産圏の一部の国々などとの間で、様々な形で対立が起きやすい状況になってきているようなところがあるわけです。
Cecye(セスィエ)