過去の学校の成績はともかくとして、どんな人であっても、普通の一人前の仕事をして、自立した生活ができているのであれば、それは学校の成績で言えば、100点満点、もう少し厳しいプロの目で見ても、平均70〜80点はとり続けている成績優秀者なのだ、というような視点も、時には持ってよいのではないだろうか
世の中では、学校で、あまり良い点数や成績をとったことがなかったために、大人になって社会人になった後も、自分の知性や能力に、今ひとつ自信が持てないような人も多いのではないか、と私は思うのですが、ただ、よく考えてみると、どんなに学校で勉強の出来なかった人であっても、大人になり社会人として、ちゃんと一人前の仕事をして、自立した生活が出来ているのであれば、それは学校の成績で言えば、常に80〜90点ぐらいの高得点をマークして、オールAかBぐらいの成績優秀者になっているのと実態としては、ほとんど同じなのではないか、ということなのです。
それは、なぜなのかというと、例えば、学校だと、「国語は、中間試験と期末試験で、両方とも60点ぐらいだったから、成績は中くらい」などと一方的に言われて、たいてい自分としては、全く自信が持てないような状況になりがちなのですが、ただ、社会に出ると、どんな人であっても、そんなことは全然言っていられないような、いわゆる常に一人前の社会人としての仕事が求められるような状況になってゆくものなのです。
例えば、建築関係の大工さんの仕事であれば、期日どうりに予算の範囲内で、請け負った設計通りの建物が建てられて、初めて、しっかりお金がもらえるとか、工場で車を作っている仕事であれば、自分のラインの所に流れてきた車に関しては、基本的にどんな車種であっても、一定の決められた通りの作業を、決められた時間内にしっかり仕上げられないと、一人前の工場員として認めてもらえないなどというように、はっきり言って、普通の社会人というのは、少なくとも常に自分に決められた、あるいは、自分が請け負った仕事に関しては、一定の時間内に一定の品質で、しかも一定のコスト内で、しっかり利益を出すような形で、きっちり終わらせることが出来て、初めて、一人前の社会人として認めてもらえるようなところがあるのです。
それでは、これは学校の成績で言ったら、いったい何点なのかというと、たとえ本人としては、いろいろ不満や反省点があったとしても、もう間違いなく、ほぼ100点満点の仕事になっているのではないか、ということです。
それというのは、たいていの仕事というのは、その仕事で最低限求められている内容に関しては、常に100点満点をとっているのが普通、世間では、ほぼ当たり前の仕事の基準になっている、というか、そうでないと普通、すぐにやり直しを強いられるか、あるいは、もう次の仕事はやってこないことが多いからです。
その上で、さらにそれ以上の厳しい仕事の基準を課した場合にのみ、「よく見たら、素人目には全然分からないけど、ここの仕上がりが、自分としては今ひとつだった」とか、「自分としては、もっと早く正確にできることを目標としているので、まだ、もう少し努力できるかな」などというように、もう少し厳しいプロの目で見た場合には、70点とか、80点などというような点数になるのでしょうが、ただ普通の社会人の仕事というのは、基本的にどんなものであっても、その仕事で最低限求められていることに関しては、どんな人であっても、常に100点満点をとっていなくてはならないようなところがあるものなのです。
ですから、もし自分は、学校時代には、あまり良い成績をとったことがなかったので、卒業後も試験や成績や、人からの評価には、あまり自信がないという人がいたとしたら、「だけど、もし、あなたが普通の社会人として働けて、それで十分生活できているのであれば、それは普通の学校の成績で言えば、どんな人であっても毎日、ほぼ100点満点の仕事をしているのであるし、また、もう少し厳しいプロの目で見たとしても、少なくとも70〜80点ぐらいの点数はとっている成績優秀者なのだ」というような視点も、時には持ってみてもよいのではないでしょうか。
Cecye(セスィエ)