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戦前戦中の「大日本帝国」と戦後の「日本国」の違いについて Part 6

 第二には、教科書には、日本では、戦前の段階で普通選挙が実現していたなどと、さも立派そうに書いてあるのですが、実際には、治安維持法などの様々な制度によって、今日の日本と比べると、まともな政党活動もなければ、十分な言論や出版の自由もなく、また内閣や議会はあっても、明治時代から続く、その時々の天皇を初めとするような特権階級の人々の意にかなった政治しかできないような(当時は「貴族院」もあるので・・・)、戦後の日本人から見ると、ほぼ独裁政治に近いような政治体制になっていたということです。

 特に現代の日本人がはっきり理解しておくべきことは、昔の大日本帝国の中国大陸への侵略にしても、アメリカやイギリスへの開戦にしても、それは当時の昭和天皇が最終責任を持つ内閣や軍部が中心になって決めたことで、当時の日本国民の意見は、ほぼ全く反映されていないことです。

 それから戦前の日本では、天皇教の教育体制と、ものすごく厳しい思想統制と報道規制が敷かれていたので、時々、当時の国民世論がどうこうというような話を聞くことがあるのですが、基本的には、戦前戦中の日本国民(当時は臣民と呼んでいましたが・・・)の世論は、その時々の為政者達の意思の反映にすぎないようなところが多かったように思われます。

※戦前戦中の日本では、現代の日本人から見ると、かなり偏向した当時の教育内容やマスコミの報道だけを信じていた人々は、わりと単純に当時の戦争や政府のあり方を礼賛していたようなのですが、ところが、もうすでに実際に戦地で戦争に関わっていた人々や、実際に欧米に行ったことのあるような人々は、当時の大日本帝国の政府のあり方に対して、かなり危惧の目を持って見ていたようです。

※時々、戦前の日本は、あたかも民主主義国家であったかのような誤った説明をしている人がいるようなのですが、今日の日本人の感覚で考えると、自由な意見の表明もできなければ、正しい報道もなく、また天皇崇拝や軍国主義的な教育もあれば(天皇の写真に敬礼しないと、どんなに優秀な教職員でも首になるような、かなり厳しいものです)、身分差別や貧困問題もあるなどというように、たとえ形式的には、政党政治や選挙があったとしても、とてもではないが、今日の日本人が考えるようなレベルでの民主政治など全くなかったのではないでしょうか。

 第三には、戦前の日本では、とにかく思想信条の自由や言論・出版の自由や集会・結社の自由がないばかりか、場合によっては、特高や憲兵が暗躍するようなかなりの暗黒社会になっていたので(不当な拘束もあれば、不当な拷問や徴兵もありのひどいものです)、はっきり言うと現代の大多数の日本人が、まるで空気のように当たり前だと思っている普通の会話や本や新聞の出版や、テレビやラジオの報道やネットへの書き込みのようなものは、ほぼ一切できない社会であったということです(当時の大日本帝国政府は、大本教の弾圧のように、当時の政府の意に沿わない宗教の大弾圧まで断行しています。多分、戦前の日本だと、こうした種類の文章は、政府の検閲で永久に日の目を見ないと思います)。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2015年6月26日 9:04 PM, 政治 / 歴史 / 社会、文化



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