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「陰陽説」について Part 25

⑦宗教や道徳の中身や、それに伴う言葉の意味に関しても、何でもかんでも、国家が、一律に教科書や辞書や文法で、一元的に押し付けるのではなく、もっと多元的な形で、多くの人々の間で、より自然で楽しい、さまざまな言語や表現によるコミュニケーションの輪が、どんどん広がってゆくような状況の方が、より望ましいと言える

 第七には、今度は、少し違った話になってくるのですが、実は、多くの人々が、「これだけは、絶対に、一元論や二元論でないといけないのではないか」、と深く信じ込んでいることが多いような、宗教や道徳の中身や、あるいは、それにまつわる、さまざまな言葉の意味に関しても、実際には、時代や地域によって、結構、大きく変化することがあるので、そう簡単には、何でも一元論や二元論では、割り切れないようなところがあるのではないか、ということなのです。

 

①一般に、多くの人々から、ずっと何も変わらなかったかのように信じられている宗教や道徳の中身であっても、実際には、時代ごとに、また、地域ごとに、かなり大きな違いが見られるようなところがあった

 まず第一には、これは、現在も、多くの人々が、非常に誤解している内容になるのではないか、と思われるのですが、実は、今も昔も、多くの人々が、非常に大切にしてきた、民族的、あるいは、全人類的に見て、ほぼ普遍的であると、一般に信じられているような、宗教や道徳の内容というのは、意外なことに、その時代ごと、あるいは、地域ごとに、たとえ、いっけん、同じような趣旨の内容であるとしても、実質的な中身が、かなり違っていることがある、ということなのです。

 例えば、昔の時代の代表的な宗教や道徳の内容と言えば、「王様や貴族の言うことに、よく従いなさい」、とか「同じ国や村の人々とは、できるだけ仲良くしなさい」、とか、「外国はともかくとして、同じ国や村の人々を殺したり、物を盗んではいけない」、とか、「正直に生きて、よく働いて、税は、しっかり納めなさい」、とか、「同じ国や村の共同行事には、ちゃんと参加して、同じ国や村への帰属意識を、しっかり持ちなさい」、というような内容が多かったのではないか、と思われるのですが、それが、時代が変わって、現代のような民主主義の時代になると、「一人一人の人間が、しっかりと民主主義国の市民としての自覚を持って、考え、行動してください」、とか、「同じ国や郷土ばかりでなく、できるだけ多くの国々の人々の文化に触れて、お互いの理解と協調を深めてください」、とか、「自分の国の人々だけでなく、世界中の国々の人々の不幸を少しでも減らし、幸福を増やせるように貢献してゆきましょう」、とか、「よく働くことも大切ですが、それと同時に、よく学び、知識やスキルを高めることや、よく遊んで、気分転換のレクリエーションもして、より豊かな人間性を育んでゆくことが大切です」、とか、「よく働いて、税金を、しっかりと納めることも大切ですが、それと同じくらい、その税金が、最も効率的に、よい目的のために使われているか、チェックするのは、大切な市民の勤めです」、とか、「他の人々の個性や才能を、しっかりと認め、尊重すると共に、自分独自の個性や才能を十分に伸ばし、自分の意見を、しっかりと表明できるようにすることが、大切です」、などというように、はっきり言うと、その実質的な中身としては、かなり大きく変化してしまっているようなところがあるのです。

 ところが、これは、少し前の日本もそうなのですが、特に、ここ百年ぐらいの間に、そうした国家のあり方が、急激に大きく変化してしまった国々の人々の感覚としては、「一応、学校では、先生に、そう習ったんだが、そうは言っても、街や村の様子は、昔と全然、変わらないからな〜」、とか、「役所や軍隊では、相変わらず、上の人の命令最優先だしな〜」、とか、「仕事では、昔からのひいきや付き合いが第一だから〜」、などというような具合に、はっきり言うと、政治制度や経済や文化の発達が、まだまだ遅れていて、その国の実態としては、そうした民主主義の考え方と、大きくずれているような国々も、現在の世界には、数多くあるのではないか、と思われるのですが、ただ、それも、数年、数十年と過ぎ、多くの人々が、たくさんの先進国の人々と接したり、あるいは、経済や文化の発達によって、そうした先進国の人々と、さして変わりないようなライフ・スタイルが送れるようになるにつれて、だんだん解消されてゆくようなところがあるようです。

 それは、ともかくとして、要は、多くの人々が、「昔から、ずっと同じものだった」、と深く信じ込んでいるような、さまざまな宗教や道徳の内容というのも、実は、時代と共に、また、地域の特色によって、実際には、かなり違っているようなところがあった、ということなのです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2012年6月21日 9:03 PM, 中国思想 / 人生観、世界観 / 宗教、道徳 / 政治 / 教育 / 知恵、正しさ / 社会、文化



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