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どんなに素晴らしい理想を掲げる社会改革であったとしても、あまりに急激な社会の改革は、百害あって一利なしである Part 3

3、政治家があまりに急激な改革を断行すると、なぜかその後、その国の経済や社会がガタガタになってしまうことがあったり、その国の経済や社会の混乱の収拾によって、かえって国王や独裁者の権力が強くなってしまうことがあるので注意が必要である

 第三には、これは、まだあまり誰も指摘しないような内容になるのですが、政治家の中には、そうした社会の混乱を狙って、はっきり言うと表向きの建前はともかくとして、心の中の本音としては、かなりの悪意をもって、そうした国家や社会の変化に伴う混乱を引き起こそうとする人間がいるので、これには非常に注意が必要であるということです。

 

①現在の社会では、突然、マスコミが社会のある問題を煽り立て、その後、まるで救世主的な立場で、そこそこ有名な政治家が急激な改革を断行し続けることがあるが、実際にはその後、その国の政治体制や経済の状況が、すっかりガタガタになってしまうことがある

 そのシナリオは主に二つあるのですが、まず第一には、それまで何十年も、ずっとその問題はそのまま据え置きだったのに、なぜか突然、マスコミなどを中心に「現在、この社会には、とんでもない問題があるのだ」というようなキャンペーンを張ったかと思うと、次にはそれに乗じて、「ついにあの有名な政治家が重い腰を上げた」というような政治状況を作ることがあるのです。

 ところが、その後が悪くて、たいてい、その有名な政治家というのが「改革」、「改革」などといろいろな理由を付けては、さまざまな改革を行うのですが、それが結局、先ほど述べたような政治権力による強制力を濫用(らんよう)した、非常に急激かつ大規模な政治体制や経済システムの変化を推し進めることになったために、実際には数十年先というよりも、もう数年もすると、その国の経済が中央から地方に至るまで、もう完全にガタガタになってしまうような大変な事態になってしまうことがあるということなのです。

 

いつも政治や経済の混乱によって得をするのは、一握りの特権階級の人々だけで、それ以外の大多数の人々は、日々の生活にも事欠くような大変な事態に陥ると同時に、政治参加や政治改革のための大きな機会を失うことになる

 それでは、そうした経済の混乱が巻き起こると、その後、一体どのような社会の状況になるのかというと、これは、はっきり言って申し訳ないのですが、たいてい大多数の人々は、突然、景気が悪くなって仕事や収入が激減したり、やっと手に入れた家や土地といった資産や財産を手放さなくならなくなったりするような、結構大変な状況に置かれることが多いのですが、それに対して、そうしたその社会において、元々ある程度、地位や財産を持っていたような人々は、表向きの報道とはかなり違って、そうした機会に乗じて投げ売り同然で値下がりした資産や財産を、あまり人目につかないような形でたくさん買い入れたりして、一挙に資産や財産を増やしていることが非常に多いということなのです。

 もちろん、こうした元々ある程度、地位や財産があったような人々が、すべて悪人であるとか、すべてとんでもない陰謀に加担している人々であるというような認識は、私は全く持っていないのですが、ただ、そうした政治の変動や経済の大混乱によって、大変な生活状況に陥る多くの人々とは全く対照的に、そうした元々ある程度、地位や財産を持っていたような人々というのは、そうした時期に大きく資産や財産を増やしていることが非常に多いということなのです。

 それと、これはよくよく冷静に考え直してみないと少し分かりづらいのですが、実はその国の経済が発展して、多くの人々がだんだん経済的に豊かになってゆくと、そうした人々と、その国において元々地位や財産を持っていたような人々との間の経済的格差、つまり、その社会における身分の格差のようなものが、だんだん非常に少なくなってゆくということと、それから、そうした人々というのは、少し前のただの貧乏人だった時代と違って、昔よりも、より積極的に政治のあり方に対して興味を持ち、いろいろな政治参加や政治改革を求めるようになってゆくということが言えます。

 ところが、そうした経済的大混乱のようなものが巻き起こると、いったん、そうした流れというのは大きく後退してしまい、また以前の時代のようにお金持ちの人はもっとお金持ちに、また貧乏な人はもっと貧乏になるというような経済格差が再び大きく開くようになるということと、それから、そうして再び経済的に困窮するようになった多くの人々は、よほど日々の生活にも、こと欠くような大変な事態にでもならない限りは、自分達の生活上の余裕がないために、あまり政治の世界に口出しできなくなるような流れになってゆくことが非常に多いということなのです。

 つまり、多くの人々の単純な思い込みとはかなり違って、実はそうした改革の断行によって、その後、大きな経済的停滞や混乱を作ることができると、再び、持てる者と持たざる者との間の経済格差が開いて、元々その社会において地位や財産を持っていた人々と、そうした経済発展によって、資産や財産を増やしていた人々との間の社会的地位が大きく分離するようになるということと、それから、そうした状況が続くと、多くの人々は仕事や収入が激減して、毎日の自分達の生活だけでアップアップするようになってゆくので、その結果、経済発展の中で求めていた多くの人々の政治参加や政治改革の機会が、再び大きく後退するような事態になってゆくことが非常に多かったということなのです。

 

 続く・・・

 

Cecye(セスィエ)

2011年4月13日 9:25 PM, 政治 / 社会、文化 / 経済



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